フォト&エッセイ自転車のある風景 第九回 変速機

スポーツ車等に付いている外装の変速機のことをディレーラーと言う。 Der・1とは脱線させるという意味だ。手元のレバーでワイヤーを引くと、ディレーラーが動いてチェーンを移動させ、ギアを別のギアに“脱線”させることで坂道今風などの外部環境に合わせて漕ぐ人の負荷を変化させてくれる。子供のころの愛車は5段変速だったが、大人になって乗りだしたMTBは、前3段、後ろ7段で、3×7の21スピード。それだけあればどんな道でも走れる気がしたが、機材の進化は止まらず、最新のものは後ろのギアが12枚にまで増えている。
 そんな便利なディレーラーだが、自転車が止まっている時には操作ができない。止まっている状態ではチェーンがギアとしっかり噛み合っており、横から押しても脱線はしない。ムリに力を入れれば変速機が壊れてしまう。しかし自転車が動いていれば、回転しているチェーンは簡単に脱線して、別のギアヘとスムーズに変速する事が出来る。
 昨年は目に見えない脅威の中で、自分白身の現状をどうにかしたいと思った人も多い事だろう。しかし心の中で思っているだけでは、しっかり噛み合ったチエ一ンとギアの様に状況は何も変わらない。でも実際に動き出せば、少しの力で簡単にシフトチェンジすることが出来る。自分も“知覚動考 (ともかくうごこう)”を実践し、2021年も、動き続け、変化して行く一年でありたいと思う。