ちくまブックレビュー 『鉄道写真集 信州国鉄の風景』

『鉄道写真集 信州国鉄の風景』

    信濃毎日新聞社編 信濃毎日新聞社刊

 1987年の分割民営化から間も無く35年。国鉄と聞いてもピンと来ない方も多いことでしょう。当時国鉄は、25兆円もの累積債務を抱え清算。第3次中曽根内閣時代に地域別分社民営化を行いました。当時国鉄の長野県内の路線は7つ。これをJR東日本・西日本・東海が3社(+JR貨物)で運営を行なうことになりました。本書はこの激動の時代、そして県内交通網を支えた鉄道史を報道写真から伝えています。

 私が小学生の時はまだ国鉄時代。鉄道への憧れは高く、今で言う「撮り鉄」の部類で、ちょっとした鉄道オタクと言えるかもしれません。何百枚という特急や機関車の写真を撮り溜めては、学校へ持っていき友達に自慢。先生に怒られたこともありました。そんな子どもでしたから、当時から新聞に載る鉄道の写真には心が躍ったのを覚えています。もちろんこの写真集からも鉄道へのロマンやワクワクを感じずにはいられないのですが、報道写真というだけあって事故の写真が多いのも事実です。特に篠ノ井在住であった私は、修学旅行の列車脱線記事は鮮明に当時を蘇らせてくれます。今は鉄道車内での事件がクローズアップされますが、事故からの安心安全はある程度担保されていきました。

 県内の高度成長を支える担い手であった鉄道網。この写真集で歴史を振り返ってはいかがでしょうか。

          (文:田中一樹)

 価格2200 円(税込)

 屋代西沢書店ほか県内書店で発売中。

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