ちくま論説 さらはにズム

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▼北京冬季オリンピックが閉幕した。次回大会はイタリア北部のミラノとコルティナダンペッツォ。史上初めて複数都市での開催となる。さらに次々回2030年大会の招致を目指す札幌市は、そり競技の会場に長野市のボブスレー・リュージュパーク、通称「スパイラル」を活用する考えを表明している。そのプランに冬季五輪4度出場の経験を持つ荻原健司長野市長は就任直後「是非とも協力したい」と前向きな姿勢を示した。

▼長野市直営の「スパイラル」は国内で唯一国際基準を満たすそり競技施設。101億円をかけ建設されたが、長野五輪でボブスレーとリュージュの会場として使用された後は維持管理費が負担となり、競技施設は休止されている。

▼同じく長野五輪でフィギュアスケート会場となったのが真島の「ホワイトリング」だ。現在はBリーグ・信州ブレイブウォリアーズのメイン試合会場だが、B1昇格にあたり、使用会場のキャパシティの基準をクリアするために当時千曲市長から長野市長に対し施設の利用と共同ホームタウン化を持ちかけた経緯がある。

▼いまBリーグではB1リーグ以上の基準を新たに設ける「プレミア構想」を掲げており、クラブ側にはホームアリーナの更なる拡充が求められることとなる。その際には千曲市と長野市の間で新たな協議が必要かもしれない。

▼いま世界の各都市で課題となっている巨大スポーツ施設のレガシーコスト(負の遺産)。貴重な市民の共有財産をどう上手く維持・運営していくか。今後は日本でも自治体同士の連携や、互いの運用計画を見据えた広域のビジョンを持つことが不可欠ではないかと感じる。・・・・・・・・(WS)