さらはにズム ちくま論説 

さらはにズム ちくま論説

 千曲市周辺の夏の風物詩は色とりどりで楽しい。智識寺の紫陽花、冠着山の姫ボタル、8月7日の七夕、須須岐水神社の茅の輪くぐり、大池の百八灯、上山田温泉夏祭り、千曲川納涼煙火大会、各地区商店街の夏祭り、稲荷山祇園祭、坂城どんどん、塩崎の三十三献灯等々

▼そして、しめやかに、迎え盆と送り盆。お盆の前日8月12日、街のお花市ひろばには人が溢れて、桔梗や萩、撫子、女郎花、百合、竜胆などの盆花を求める人々で賑わったものだ。

▼迎え盆の13日、家々では仏壇の前や床の間にご先祖様を迎える「盆棚」を組み、先祖代々の位牌を移し、ナスやキュウリで作った馬や牛の形代、飾り菓子、果物、てんぷらなどを供える。夕方、一家揃って墓へ仏をお迎えに行き、めんがら(麦わらの方言)や白樺の皮を墓前で燃やして、提灯に火を移し、ご先祖様を迎え入れて家に帰る。家の玄関の前で再び火をたき「じいやん、ばあやん、このあかりでおいだれ、おいだれ」と唱えて、盆棚の燈明に提灯の火を移す。

▼盆の4日間をご先祖様と一家共にした後、8月16日夕方、迎え盆と同じように玄関前でめんがらや白樺の皮を燃やし「じいやん、ばあやん、このあかりでおかえりやい、おかえりやい」と唱え、提灯に灯をともして墓まで祖霊を送り、墓で再び火をたき別れの言葉を唱えて、送り盆が終わる。

▼コロナの所為もあって、近頃は伝統的な行事が大分簡略化されたり、中止されているようだ。それにチャレンジするかのように先月17日、姨捨の日本遺産センター界隈で「おばすて納涼祭り」が開催された。市民の有志「楽市楽座でつなぐ会」と信州千曲観光局の共催で「夏といえばお祭り!月のきれいな姨捨に行こう!昔懐かしい日本を再現しよう!」をコンセプトに呼びかけたところ、500人の老若男女が集まった。地元姨捨の住民の皆さんの参加が一番多かったそうだ。途中、雨が来て中断されたが、大きな美しい虹が有終の美を飾った。地元姨捨の区長さんの笑顔が満月のようだった。