第四回 小坂城 千曲市『山城』散歩

第四回 小坂城 千曲市『山城』散歩

千曲市桑原にある曹洞宗寺院、龍洞院の裏山の小坂山にある小坂城。2015年に市の文化財に指定された。長年、地域で整備され守られてきたが、近年では森林が荒れ歩道を倒木が遮るなどの景観悪化が懸念されていた。千曲市川西地区振興連絡協議会では、地域住民が里山を活用した取り組みを行うために「川西地区里山整備部会」を設立した。令和3年度から長野県森林づくり県民税を使って整備を始めている。

 ここから善光寺平の南半分が手に取るようにわかる。1553年武田氏が侵攻し城は武田方のものになったが、約30年後の1582年に武田氏は滅亡。その後は上杉景勝の支配下になる。大規模な補修が行われ、随所に石垣が残り、主郭の背後には深さ10mの大堀切などが良好に残っている。小坂山に続く尾根上には6本の堀切が連続し、深さ8mほどの大きなものもある。

 登り口は龍洞院の裏からと、500m程先へ行った蟹沢からも登ることが出来る。どちらも15~20分で主郭へ行かれる。山頂までは30分程だ。小坂山には小坂城址のほかに、塚穴古墳、越将軍塚(長野市)がある。川西地区里山整備部会は、3年かけて里山を整備し、里山マップの作成なども行い地域に親しまれる里山にしていきたいと話している。

<参考文献>「いざ!登る信濃の山城」中島豊著、信濃毎日新聞社刊、2020年