思いを形に 夢咲く文 第4回 「あのね、おかあさんー」にある作文の原理

思いを形に 夢咲く文

第4回 「あのね、おかあさんー」にある作文の原理

夢の作文支援センターさらしな堂 大谷善邦

(元共同通信記者。著書「白 さらしな発日本美意識考」など)

 子どもに作文を書かせるとき、「あのね、おかあさんー」という語り掛け口調で書き始めさせる方法があります。この語り掛けが、子どもに生じるのは、伝えたいことの核に子どもがぶつかっている証拠で、とにかく語り始めて(書き始めて)もらうことで、その核に到達し、伝えたいことの核を表現させるという指導方法です。

 大人の作文も原理は同じです。「このことについて書きます」と導入で宣言し、その内容を詳しく書いて展開します。つまり、導入と展開の二つの部分があれば、一つの作文は成立します。大人の場合は、「なぜこのことを書こうと思ったのか」について書き込むことをおすすめします。読者をだれに想定するかにかかわらず、なぜ伝えたいのかについての思いが具体的に書かれていると、作文の訴える力が違ってきます。

 学校などで教わった「起承転結」という文章作法を意識して従おうとすると、なかなか書きだせません。導入部分がはっきりしていれば、少し違った角度の内容にする「転」や、まとめ・結論にあたる「結」も、自分の知らないうちに書けてしまったりするものです。最初から決めておく必要はありません。書くハードルを低くしてほしいと思います。