千曲市『山城』散歩 第七回 鷲尾城

千曲市『山城』散歩 第七回 鷲尾城

倉科将軍塚古墳と隣り合わせにある鷲尾城。千曲市倉科と生萱との境界の峰上、標高516mにある。なんといっても見所は主郭の周りを取り囲む石積みだ。板状の石を小口積みした石垣で、高さ4mほどもある。こうした高い石垣によって主郭を築く山城は他に例がない。一説には、倉科将軍塚古墳の葺石を使ったのではないかともいわれる。

 築城は中世15~16世紀、城主は村上氏の支族倉科源三郎と伝えられる。1553年村上義清の葛尾城が武田軍に攻略され、屋代氏や松代方面の豪族が武田方についたことから、周囲の敵に抵抗する力はなく、戦わずして安曇方面に敗走したと推測されている。

(写真)上部が湾曲した武者返しの石積み

 大日堂園地から約30分。城からの眺めは直下に広がる屋代田んぼと森将軍塚古墳や、遠くに北アルプスを望み、四季折々の情景が眺められる。倉科の史跡保存会が整備を行っており、地域で大切に守られている山城である。

<参考文献>「倉科の里」倉科の里ガイドブック編集委員会、千曲市倉科区、2014年