気になった言葉をメモ、育ち始める文章 思いを形に 夢咲く文

思いを形に 夢咲く文

気になった言葉をメモ、育ち始める文章

夢の作文支援センターさらしな堂 大谷善邦

(元共同通信記者。著書「白 さらしな発日本美意識考」など)

 話していて「その話おもしろいね」「その言い回しいいね」と言われたことのある人は多いと思います。しかし、あらためて文章にしようとしても、なかなか作文できないものです。でも、他人が評価してくれたということは、伝わったということです。おしゃべりのリズムが伝えたい核を引きだすことがあります。

 話を聞いてくれた人が「こういうことだな」とうまい言葉で要約してくれることがあります。その言葉をメモし、気に留めておくといいと思います。文章が育ち始めます。話していて自分で「いいな」と思った言葉も同じようにしてみてください。

 わたしは千曲市が「月の都」で日本遺産になったのを機に、「月の都」という言葉が歴史的にどのように使われてきたか調べてきました。最初に登場するのは平安時代の「竹取物語」で、天体の月にある都を指しており、次は「源氏物語」で、月が美しい京の都の意味で使われていました。

 ある会合でそのことを話したら「月の都が宇宙から地上に降りたんだ」と言う人がいました。この「地上に降りた」という言葉で、月の都に寄せられた人びとのイメージの積み重なりと、月の都が日本遺産になる流れがよく見えてきました。そのことも作文したいと思います。