思いを形に 夢咲く文 第7回 なぜ今伝えたい? 過去は新しくなる

思いを形に 夢咲く文 第7回 なぜ今伝えたい? 過去は新しくなる

夢の作文支援センターさらしな堂 大谷善邦

 伝えたいと思うのは、理由があるからです。なぜ今伝えたいと思ったのか理由を考えましょう。

新聞の読者投稿欄が参考になります。書いた理由が読者に届きやすい作文になっています。ニュースになった最近の事がらについての投稿は、書いた理由が入りやすいものですが、過去の経験やエピソードの投稿もよく載っています。書いた人が意識しているかは別にして、昔の話でも不特定多数の読者に読んでもらいやすい表現になっています。

 昔のことを昔のこととして書いただけでは、読み通してもらうことは難しいです。

 一番印象に残ったことを、その理由と一緒に書けば読書感想文になると、学校に通っていたころ、知りました。この方法にしたがうと、確かに一つの作文ができあがりました。なぜ印象に残ったのか書くことは、自分の内側を見つめることです。おのずと、その時点での自分の「今」を書くことになります。

 過去の経験を書くときも、「今」を書くようにしましょう。「〇〇について書きたくなった理由は…」などと書き始め、綴ってみましょう。昔の経験を読者に伝わるように書くことは、過去を新しくすることです。過去が新しくなると、気力が出ます。血のめぐりもよくなって、若返ります。(元共同通信記者。著書「白 さらしな発日本美意識考」など)