倉島 重友展 (千曲市名誉市民) -風の刻によせて- を観覧して

倉島 重友展 (千曲市名誉市民) -風の刻によせて- を観覧して

 千曲市名誉市民の「倉島重友」先生の個展「風の刻によせて」が昨年10月1日から12月22日まで、人口増加が著しい千葉県流山市で開催された。「ちくま未来新聞」としても、名誉市民の個展であり、取材を兼ねて展覧会を観に行ってきた。

 展示会場は、流山市「おおたかの森駅」から徒歩8分。小学校と中学校が道路を挟んで並んでいる先に、シンプルで箱のような重厚な建物がある。私設の「森の美術館」だ。

 観覧は完全予約制のためか、会場に入ると間もなく館長の「森 忠行」さんが温かく迎えてくれた。展示会場では、倉島先生が佐久市の「コスモス街道の丘」を描いた新作の「秋桜の丘」をはじめ、日本美術院・同人の受賞作品など二十数点が展示されていた。作品は大きなもので百五十号を超える超大作が数多く展示されており、会場内は先生の画風でもある「穏やかな色調」に包まれ、観る者を温かく迎えているかのような印象を受けた。展示は、前期と後期に分けて一部の作品は入れ替えもあったようだ。

 倉島先生のご案内で館内を観覧したが、それぞれの作品の前に立つと、ゆっくりとした時の流れと安らぎを感じる。

 偶然、鑑賞に来た女性と作品について歓談する機会があった。その女性は「何度か先生の作品を観ていますが、柔らかな何とも言えない表現に心が休まります。」と話されていた。きっと先生の人柄と画風がそう感じさせるのだろう。

 展覧会のテーマは「風の刻によせて」だ。「風の刻」とは「日常がふと途切れ、何かが心に刻まれる瞬間」でもある。先生の作品は「自然の美しさや人々の生活」を中心に描かれており、コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻で一変した大変な時代の中にあって、観る者の心にやさしく迫る作品の数々は、まさに「風の刻」のように感じる。

 館内一杯に広がる「倉島ワールド」。改めて、感動と自慢の「名誉市民」の存在に充実感いっぱいの一日であった。(ちくま未来新聞編集部)