さらはにズム ちくま論説

さらはにズム ちくま論説

▼国の重要無形民俗文化財「雨宮の御神事」は先月29日、6年振りに執り行われたが、コロナの所為で朝踊り、城踊りなど日吉神社の境内でだけのお祭りだった。今年こそは再開しようと村の人達で喧々諤々の話し合いがあったそうだ。500年以上前から先人たちが厚い信仰心を重ねてきた賜だからこそのぎりぎりの決断だった。

▼今から1600年前に造られた史跡・森将軍塚古墳は60年ほど前、古墳の周辺で土砂採取が始まり崩壊の危機にさらされたが、当時の市民、研究者、行政が一丸となった保存運動により復元された。今では森将軍塚まつりを開催し、市民の拠り所になっている。

▼今年、何校かの小学校が創立150年を迎えているが、伝統ある教育施設も大切な「郷土の文化財」ではないだろうか。子どもたちや青少年を心身共に豊かな市民に育てる場は、未来の文化を伝承し創造する市民を育てる場だ。そんな大事な場の存続が、今、千曲市にとって危ぶまれているのだ。▼「教育の機会均等を求める会」(代表・宇田川弘子さん、以下「求める会」)では「県の高校再編計画で屋代南高校の閉校が決定し、千曲市の高校が屋代高校だけになってしまうと、教育の機会均等が著しく損なわれてしまう。千曲市の人口規模(約58000人)では県下の他の地域と比べれば3校が妥当だというのに、このような教育環境のアンバランスを許していいのか」と訴える。

▼「求める会」では、今後は市内の中学校PTA会員に働きかけをして、高校存続を死守するため、署名運動を展開するという。また、小川市長が会長を務める「屋代南高校を発展させる会」を強力に応援。千曲市の将来像である文化伝承創造都市を目指している行政も市議会も、積極的な動きを期待しているとも聞く。

▼来たる5月14日には埴生公民館で「求める会」主催の「高校再編計画決定 千曲市にキャンパス校を誘致しよう」の開催を計画。多くの参加を呼び掛けているそうだ。