おじょこな800字小説 第四十六回「withゾンビ」 「ミカ、薬はちゃんと飲んだか?」 俺はソファーに座っている妻のミカに確認をした。 「うん。飲んだ」 少し間を置いてミカが答えた。昔と比べてだい
カテゴリー: おじょこな800字小説
おじょこな800字小説 第四十五回「稀代の飲兵衛」
おじょこな800字小説 第四十五回「稀代の飲兵衛」 遅れて通夜会場に入った僕は、勝彦おじさんの遺影の前で手を合わせた。遺影の勝彦おじさんは、顔を真っ赤にして笑っている。婚礼のときに撮影したものだろう
ひなた短編文学賞 大賞受賞 わたしとシーグラス 相生たおず
ひなた短編文学賞 大賞受賞 わたしとシーグラス 相生たおず 年の離れた姉とともに、わたしは砂浜を歩いていた。昼下がりの海は穏やかで、春の陽射しを受けて、きらきらと眩しく光っている。 「懐かしいな、こ
第四十四回「同級生」 おじょこな800字小説 塚田浩司/柏屋当主。屋代出身。
小学校時代の同級生の和也と二十年ぶりに会うことになった。SNSで名前を見かけた俺の方から声を掛けた。喫茶店で再会を果たしたのだが、会うなり和也は嬉しそうに「久しぶり」と俺に満面の笑みを浮かべた。昔と
第四十三回「鈍感な男」 作・塚田浩司 おじょこな800字小説 「ねえ、私を見て何か気づかない?」
第四十三回「鈍感な男」 作・塚田浩司 おじょこな800字小説 「ねえ、私を見て何か気づかない?」 夕食中、妻に 訊かれ、正樹はドキッとした。正樹は昔から鈍感だった。妻が髪を切っても買ったばかりのスカ
おじょこな800字小説 第四十二回「はじまりの水」塚田浩司
おじょこな800字小説 第四十二回「はじまりの水」 「中学校の水道の水を飲みに行こうぜ」 突然、宮本からこんなラインが届いた。奇妙なラインだとは思ったが、今のアイツの状況を考えると断る気にはなれず、
おじょこな800字小説 第四十一回「詐欺だけに」 塚田浩司/柏屋当主。屋代出身。
おじょこな800字小説 第四十一回「詐欺だけに」 「このところ犯罪が横行していまして、その犯罪グループのリストの中におばあちゃんのお孫さんの名前があったんですよ」 警察官役の俺が、お婆さん役の笠置に
おじょこな800字小説 作・塚田浩司 第四十回「恵方巻きの効果」
おじょこな800字小説 作・塚田浩司 第四十回「恵方巻きの効果」 今年の恵方は東北東だ。俺はさっそく東北東に向き恵方巻きにかぶりついた。恵方巻きは願いを思い浮かべながら無言で食べる。俺の願いは「ステ
おじょこな800字小説 作・塚田浩司 第三十九回「アンとわたし」
おじょこな800字小説 作・塚田浩司 第三十九回「アンとわたし」 私のふるさとに夫と一緒にUターンした。大学進学のときに地元を離れて以来だからこの町に住むのは五十年ぶりだ。屋代駅前通りもすっかり変わ
おじょこな800字小説 作・塚田浩司 第三十八回「刺身の盛り合わせ」
おじょこな800字小説 作・塚田浩司 第三十八回「刺身の盛り合わせ」 大晦日。東京から帰郷する俺のために、母が腕をふるって料理を作ってくれる。唐揚げにハンバーグにフライドポテトなど子供が好きなものば