第九回 県史跡・青柳城(筑北村)『山城』散歩 

第九回 県史跡・青柳城(筑北村)『山城』散歩 

青柳城はJR篠ノ井線坂北駅の東方、筑北村の山に築かれた壮大な遺構がある山城である。現在、青柳城址公園として整備されており、櫓門が復元されている。本丸の玄関口には威厳を備えた枡形虎口があり、冠木門も復元されている。高さ4mを超える高石垣や深く削られた二重堀切も必見だ。

 1553年に武田信玄が北信侵攻の途中でこの城に滞在し、降参した地域の諸将を引見したという。その直後に上杉謙信は第1次川中島合戦の余勢を駆って、深くこの地域まで侵攻し、青柳城下にも放火を行った。

 1582年武田氏が滅亡したあとは、筑摩郡北部は、松本城を奪還した小笠原貞慶と北信地域に進出した上杉景勝との間で争奪の地となり激戦が繰り返されるが、最終的に景勝が撤退したために小笠原の所領となった。

 尾根先にある本丸からは、北は冠着山・一本松峠、遠く安曇の山々が一望できる眺望絶景の地である。JR坂北駅から青柳宿を通って青柳氏居館跡でもある清長寺まで徒歩10分、そこから主郭まで40分、または山頂駐車場からは、徒歩15分で本丸に辿り着ける。千曲市から近く一度は訪ねてみたい山城だ。

<参考文献>「長野の山城ベスト50を歩く」河西克造・三島正之・中井均編、サンライズ出版、2013年