新戸倉体育館の建設基本計画も公表サート 千曲市が進める大型事業 

新戸倉体育館の建設基本計画も公表サート 千曲市が進める大型事業 

まちづくりで民間事業者と連携強化  「公民共創推進室」が誕生

 千曲市では令和6年度の組織改正で企画政策部地域開発推進室を「公民共創推進室」に改称した。市政運営基本方針に掲げられた「公民連携の強化~『共創』」。「共創」とはまちづくりの課題解決に向け、行政が民間事業者のアイデアやノウハウを活かして共に新しい価値を創出していくというものだ。公民共創推進担当の青木部長は「従来の民間と行政による『協働』は進むべき方向が明らかなのに対し、『共創』は試行錯誤しながら一緒に作り上げていこうという意味合いが強い」と話す。今年度の公民共創推進室の大きな課題には以下の3事業が挙げられている。

地域開発推進事業〈仮称・屋代SIC〉

 屋代地区では昨年事業化が決定した仮称・屋代スマートインターチェンジ(SIC)の計画が動き始めた。市が「東西連携軸」と位置付ける都市計画道路一重山線の整備も新年度予算に計上されており、SIC周辺は交通結節点(モーダル・コネクト)としての機能強化が期待されているという。

 一方で、道路の供用開始時点で一種農地から三種農地に変わり、農地転用が許可されるようになるため、今年度「仮称・屋代SICを活用した魅力あるまちづくり方針」を策定する予定となっている。

新戸倉体育館建設事業

 今回、公民共創推進室にはスポーツ振興課から戸倉体育館建設事業が移管され、「新戸倉体育館建設係」を新設した。戸倉体育館、千曲市サッカー場周辺から白鳥園エリアまでを含む総合運動公園構想では、老朽化している戸倉体育館に替わる新たな体育館を建設する計画だ。令和10年度の国民スポーツ大会及び障害者スポーツ大会(信州やまなみ国スポ・やまなみ全障スポ)で、千曲市はハンドボールとボッチャなどの会場が予定されている。新体育館は国スポでのハンドボール会場として建設を推進することとなった。4月30日には基本計画の素案が公表され、パブリックコメントを募集している(5月31日まで)。市民の意見を伝える貴重な機会への活発な参加が期待される。

地域防災拠点・道の駅整備事業

 八幡地区の道の駅整備事業については民間事業者との意見交換により課題などを把握する「サウンディング型調査」を実施する予定。その上で今年9月までに「防災拠点・道の駅」の候補地を国道18号バイパス沿いで選定し、基本理念や機能、管理運営手法などをまとめた基本構想を策定する計画だ。

大型事業の効果と課題

 以上3事業ではいずれも公民連携(PPP)の推進が図られているほか、大型施設の建設では民間資本の活用(PFI)も選択肢に入ると思われる。

 また、内閣府ではPPP・PFIの推進について、地方公共団体への支援を実施している。令和6年度は「優先的検討規程運用支援」として、従来手法に優先して検討する規程の作成や、進捗させる過程を支援。千曲市は全国から募集した支援対象の6自治体の一つに選ばれている。

 一方で、このところの資材価格の高騰や人手不足などで大型公共工事の遅れが問題になっており、いずれの事業へも影響が及ぶことが懸念される。3月の市議会では各事業の効果についての質問も複数出された。今後の計画の進捗を注目していきたい。

 

仮称・屋代SICの建設が見込まれるエリア

現在の戸倉体育館周辺

八幡の国道18号バイパス