さらはにズム ちくま論説

さらはにズム ちくま論説

 ▼新緑が映える瑞々しい季節がやってきた。しなの鉄道屋代駅前通りの街路樹達も緑で真っ盛り。なんじゃもんじゃや、西洋菩提樹や、なかでも平成23年駅前通り再生支援事業の記念に植えた13本の欅(けやき)が頼もしい。樹齢10数年の木々はこれから秋口まで、商店街の広い歩道の緑陰として歩行者に癒しと活力を与えてくれる。

▼一方、木々は小鳥に棲み処を与えることで、小鳥たちの耳障りな鳴き声やフン害が発生。季節が流れて、11月以降になると、木枯らしが吹く。特に当地区は昔から「満照寺っ風」とも「十文字っ風」とも謂われる風が吹いて、毎日々々夥しい落葉が歩道を覆う。欅たちは「厄介者」になってしまうのだ。

▼7年ほど前になるだろうか、4人の若者が商店街を訪ねて来た。「この商店街、いつ来ても人出が無くて寂しい。何とか楽しいにぎやかな通りになるよう応援したい。」と駅前のロータリーで(冬は駅の市民ギャラリー)音楽ライブを企画、毎月1回のペースで続けてもらっている。毎回数チームが参加し、市内外の高校生、一般のサラリーマン、公務員などが楽しんでいる。ところが、コロナ禍のころから「ライブがうるさいので何とかならないか」と近所から厄介者扱いされて、今も時々ライブのプレイヤーとトラブになっている現状だ。

▼良かれと思って実行したことが、立場の違う人たちにとっては受け入れられないことは日常茶飯事ではあるが、前述の2つのトラブルは小さなコミュニティの当事者間だけの問題ではなくコミュニティ全体の問題として把握しなければならない。個人的な感情や主義を超えて、相手の身になって、またコミュニティ全体の利益のために、知恵を出してとことん話し合いをし相互理解し妥協してもらうしか、解決はない。