特集② 千曲市議選 ◆候補者が訴える選挙の争点は?

特集② 千曲市議選

◆候補者が訴える選挙の争点は?

  7月7日、任期満了に伴う千曲市議会議員一般選挙が行われる。すでに6月30日に告示されており、本紙の7月号が発行されて、読者の方が手に取られるときは、候補者は出そろっている。それぞれの候補は選挙活動を展開しているはずだ。この原稿をまとめている6月23日時点で、本紙の取材で判明している候補者は24人。ネットで検索すると、7人の候補がわかる。定数は20。告示日翌日には、各候補が選挙で主張する「内容」が選挙公報として、各戸に配布されている。

 選挙公報によると、期日前投票は7月1日から7月6日の午前8時半から午後8時まで。投票場所は千曲市役所1階マルチルーム(ガレリア通路横)、旧戸倉庁舎の千曲市ふれあい福祉センター2階ロビーの2か所。詳しいことの問い合わせは、選挙管理委員会まで 電話026‐273‐1111(内線5102)

 7日の投票は午前7時から午後8時まで(一部の投票所を除く)。市内には43カ所の投票所が設けられ、開票は7日午後9時から千曲市立埴生中学校で開票作業が行われ、同日深夜には大勢が判明する見通しだ。

 市議の任期は一期四年。今回は出馬せず勇退される方もおり、現職と新人の動向についても市民の関心を呼ぶところだ。この秋には市長選も控えており、千曲市の選挙イヤーはいよいよ本格的に動き出した。ただ、市民の関心がいかに上がるかどうか。

 これまでも本紙で市議選の争点となりうる課題を掲載してきたが、あらためてテーマを以下のように絞ってみた。

1.道路整備といったインフラ設備では「屋代スマートインターチェンジ(スマートIC)事業」が決定しているが、選挙前の市議会でも反対意見が表明されるなど争点となりそうだ。千曲市は「屋代スマートIC」の整備によって「ひと、もの、文化」が市内全域に波及するとしている。ただ、関連施設やアクセス道路、とくに一重山線全線の開通が完全に見通せないと、構想としている「産業連携道路ネットワーク」は実現が不透明だ。また、人件費や材料費の高騰は続いており、当初予算は屋代スマートICが5億円、市道一重山2号線が約約18億4000万円とされていたが、現在の概算では、スマートICが約5倍の24億円、2号線は倍以上の39億円に跳ね上がっている。公共事業ではよくあるが今後、さらに増える可能性は否めない。

 このほか千曲市では戸倉地区での新体育館と野球場を備えた新運動公園や、坂城町と共同で新設する「葛尾組合リサイクルセンター」計画など大型の施設事業がいくつかある。財政的な見通しを市側はきちんと市民に説明する責任がある。財政破綻しない道筋を行政にただす市議候補であってほしい。

2.「医療・健康・福祉」。すなわちお年寄り対策、子育て支援だ。お年寄りが不安なくすごせる街づくりはなにか。まずは街灯が暗くては困ってしまう。防犯灯・商業灯がどうなっているか実態を調べて、管理する方がどなたかを明確にして、整備を進めてほしい。各地域からも要望が出ていよう。

 子育て支援では、医療費では18歳までの無料化が進んだ。さらに負担を減らすことはないか。学校給食の無償化はどうだろう。坂城町をはじめ県内の24自治体は無償化となっているという。千曲市は一食34円の補助が行われているというが、食材の値上がりは続いている。家庭の負担を少しでも減らすために、学校給食の無償化は実現してほしいものだ。

3.「防災・自然災害への安全対策」。台風19号による千曲川の氾濫から今年で5年となる。堤防を越えた千曲川の氾濫は、市内の埴生、粟佐、雨宮、八幡など多くの地区の家屋が床上・床下浸水の被害を受けた。市街地の浸水を抑える遊水地の対策は進んでいるが、災害は忘れたころに襲ってくる。候補は市民の防災意識の向上を図る提案をしてほしい。

 千曲市の各地域への事業について「地域間格差」が指摘されている。少子化・高齢化が続くなかで、それぞれ地域のことをアピ―ルするだけでなく、千曲市のバランスある発展も考えてほしい。

 そのほか防犯・交通安全、教育では具体的な元気がでる学校づくり・不登校問題、雇用・労働・人手不足、市民参加・市民協働・区長会や常会の今後について、外国人との接し方、一般予算の透明性確保、情報公開と情報の共有化など課題は尽きない。ただ「課題山積」と言っていては始まらない。

 市民の皆さんの貴重な税金で千曲市の様々な事業が進められていることを知り、「この方は」と思った方に一票を投じてほしい。

 前回令和2年(2020年)7月12日投開票の市議選は、定数20に対して25人が立候補。当選者の最高得票数は2190票、、20番目の得票数は860票だった。投票率は58%と千曲市となってからは最も低い投票率だった。40%余は投票されなかったわけだ。

 その時の投票率にもよるが、今回の当選ラインは約870票と予想される。

 千曲市の人口は約6万、6月12日時点の有権者は男24145人、女25964人、計49839人。告示日の前日には選挙時登録が行われる。

 ちなみに立候補者が届け出て選挙がスタートする日は、衆議院議員と参議院議員選挙は「公示」、自治体の選挙は「告示」と呼び、区別されている。これは憲法と公職選挙法で定められている。

 近年は議員のなり手不足が叫ばれており、長野県は選挙で無投票だった市町村議会の割合が4割近くにのぼり全国ワーストとなっている。千曲市の未来を占う選挙。大切な一票を無駄にしないよう、しっかり公約を吟味して託したい。

(本紙特任記者・中澤幸彦)

 千曲市議会議員一般選挙 【選挙期日】令和6年7月7日

 (告示日6月30日 任期満了7月24日)

 千曲市長選挙 【選挙期日】令和6年10月27日

 (告示日10月20日 任期満了11月10日)

千曲市長選挙

千曲市議会議員一般選挙及び候補者のポスターが貼られる掲示板も準備された=千曲市屋代、6月23日撮影