◆読むことは「未来への扉」を開く 特集1 千曲市の図書館② ☆もっと地域の図書館を利用しよう

◆読むことは「未来への扉」を開く 特集1 千曲市の図書館② ☆もっと地域の図書館を利用しよう

 千曲市立の図書館は大きく3つある。そのひとつ戸倉図書館(戸倉2305‐1)。千曲市のホームページによると、同図書館は「生涯学習の中核的施設として地域に根ざした図書館運営を目指し、併せて芸術・文化活動の拠点としての公民館及び多目的ホールを一体化した複合施設。併設の戸倉創造館の情報学習室を開放している」と紹介している。

 

戸倉図書館

戸倉図書館は独自イベントについても、大人の「折り紙教室」を開いたほか、各月のイベントも企画している。6月は「おはなし会」を7日、21日の土曜日に開いた。各図書館のイベントのほか、「新着おすすめ本」「カレンダー」は、市報千曲の「としょかん通信」に毎月掲載されている。ちなみに、6月の新着おすすめ本は、戸倉は「片翼のイカロス」(著者は野島夕照、光文社)など2冊、上山田公民館の図書室からは「籠城忍 小田原の陣」(著者は矢野隆、講談社)などそれぞれ2冊が紹介されている。

 

 本を読む機会は、保育園、幼稚園のころからいろいろとある。外で遊ぶよりも最近は、小学生からゲームに夢中になってしまっているかもしれない。でも絵本の「ぐりとぐら」や、アニメの「アンパンマン」「ドラえもん」にも夢中になった時があったと思う。本を読むこともいろいろな「きっかけ」があるだろう。子供や若者には、「読むこと」がそれぞれの未来への扉をひらくことにつながる。「シュバイツァー伝」や「野口英世」の伝記を読んで医者を目ざした方もいるだろう。記者もそうした若者を知っている。

☆「ブラック・ジャック」を読んで医師になった

   「このブラック・ジャックの漫画を読んで、僕は医者を目指すと決めた」。大学受験の浪人生のころ予備校の寮の食堂で彼はこう言った。50年も前のことだ。「鉄腕アトム」の作者として知られた手塚治虫は当時、漫画雑誌の『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)に「ブラック・ジャック」(black jack)を連載。医療漫画で天才的外科医だが医師免許を持たない「ブラック・ジャック」 こと、間黒男(はざま くろお)の活躍を描いた。 週刊少年チャンピオンには、1973年11月19日号 から1978年9月18日号にかけて連載された。予備校の寮では、金曜発売の同誌を多くの部屋ごとに当番制で購入して、回し読みしていた。「ブラック・ジャック」は手塚治虫の中期の名作として今日も高い評価を誇っている。

 当時、少年チャンピオンには「ドカベン」「がきデカ」「マカロニほうれん荘」と人気漫画が連載されていた。医学部を目指した彼はブラック・ジャックの単行本3冊を抱えて、大学受験。関西の国立大医学部に合格した。その後会っていないが、今も医師として活躍していると聞いた。 それを見ていた「ど文系」だった私は、こうして記事を書いている。

  テレビドラマや映画になった「Dr.コトー診療所」も原作は小学館発行の漫画、コミックだ。離島で奮闘する外科医、五島健助が主人公。吉岡秀隆が演じたが、原作のコミックを読むよりもドラマを見て、無医村の医師を志した方もいるかもしれない、医師に限らず、看護師をはじめ、栄養士、エンジニアなど「なりたい」職業が、「よむこと」がきっかけとなったケースは少なくない。

 大人になったら、本を読むことが減ったという方は、歴史小説でも推理小説でも、恋愛小説でもちょっと好きな分野の本を、図書館や書店で手に取ってみるといい。「思いもよらなかった面白いこと」が広がるかもしれない。そのためのヒントは近くの図書館にはいろいろとあると思う。

(本紙特任記者 中澤幸彦)

ふる里漫画館(千曲市稲荷山2181-1)

 千曲市内で漫画本の閲覧が出来るのは更埴図書館等のほかに 「ふる里漫画館」がある。平成2年(1990)に旧稲荷山町役場の庁舎を改装して開館。稲荷山出身の政治風刺漫画家・近藤日出造の作品・資料約4000点を常設展示している。最新のコミックも含め漫画本の収蔵数は8082冊を数える。

入館料一般300円、高校生150円、中学生以下無料(月曜日休館)。