◆2025私の未来戦略
2025年は「乙巳(きのとみ)」の年。「乙」は力を蓄える状態を、「巳」は成長を遂げた状態を意味するといいます。地域で活動される皆さんから目標に向けての「未来戦略」をお聞きしました。【敬称略】
地域の史料に学ぶ 柄木田文明
十八歳で大学進学のために東京へ出て以来、ずっと東京での生活が続いた。定年を機に千曲市の実家に戻った。まず印象に残ったのは、地域の活動が活発であることだ。市民一人一人が、ある時は職業人としてエネルギッシュに活動している。その一方で、全国的に子どもたちの不登校が増え、自殺する子どもたちも増えている。子どもたちにとって、日本の現状は幸福感や自己肯定感を生むようにはなっていないのだろう。これは「子育て(教育)」をめぐる環境が著しく貧困である事の証左であると思う。これは子育てに限らず、高齢者や貧困等の問題にもあてはまるだろう。
職業柄、歴史的な事実から自分の生き方、社会の在り方を考えてきた。現在「未来戦略」の会議室を借りて、十九世紀前半の地域(千曲市森)の史料を有志の皆様と一緒に読んでいる。この時代は貨幣経済が地域社会に拡大し、新しい秩序を求める人々によって古い秩序が批判された。私たちの読んでいる史料は、この時代の課題に正面から向き合い、理想とする地域社会の在り様を真剣に考えた人の日記である。この時代の課題は国家のレベルでは明治政府の誕生という形で解決された。
しかし、地域の平和と幸福を祈りながら、地域社会の在り方を悪戦苦闘しながら考えている日記の作者に、私は等身大の親近感を覚えるのである。平和や幸福は外から単純に与えられるわけではなく、自らの努力と納得、そして諦めからしか生まれないと思うからで、それは時代によって大きく変わらないからである。
(雨宮・長野県文化財保護協会更埴支部長) 柄木田文明さん/「本家日記」(中条唯三郎)
千曲市の教育に多様性を 峯村怜子
昨今「多様性」という言葉をよく耳にするようになりました。急激に変化し予測が困難なこれからの時代に向けて、教育にも多様性が必要とされています。教育において「多様性」という言葉が指し示す方向性は、子どもたちがもともと多様であり、互いに独立したそれぞれ異なる唯一の存在であることを互いに尊重し、認め合いながら関わることによって人間形成をしていくことであると考えます。
第四次長野県教育振興基本計画では、「個人と社会のウェルビーイングの実現」を目指しています。そのためには、すべての子どもたちに安心して過ごせる、「自分らしくいられる」場所があることが必要です。そして学校に限らず家庭や地域の居場所など、自分に合った学びの場や学び方でのびのびと自分の良さを発揮できること。みんなが「どこで学ぶことも公教育である」と認識すること。子どもを取り巻く人達は、お互いの立場を理解しながら連携し、その子にとって最善の選択を、その子自身が主体的にしていけるように支えること。またお互いがそれぞれの選択を尊重しあえることも大切です。そのような意識が子ども大人に関わらず千曲市で根付いていくことを願って止みません。
(打沢・長野県教育委員会教育委員)
二〇二五 私の未来戦略 亀山正明
私は今年、平均寿命に達しました。持ちつ持たれつの連れ合いと共に、そこそこの健康を得ていることが、「今の幸せ」と思っています。そんな私ですが、やりたいことがまだまだあります。
やりたい事第一は、千曲市の「日本文化遺産29の宝」を守ることです。昨年「月の都千曲の文化財を育む会」が発足しました。最初の活動として「姨捨長楽寺の月見堂」を守る事が決まり、クラウドファンディングが始まっております。 有志の方々と力を合わせ、『月見堂萱屋根の修理』を完成させ、2025年「仲秋の名月」を愛でたいと願っています。
第二は、私が、千曲市ボランティアガイド「楽知会」でご案内を始めて二十年になろうとしています。 お客さまとの交流を楽しみながら、誇らしい地元の案内をし、自分自身も心と体の健康を維持することです。 自分のやりたいことを沢山持ち、一つずつ「まてい」に挑戦することを今年の未来戦略といたします。
(ボランティアガイド楽知会)