おじょこな800字小説 第五十一回「人形たちのファッションショー」
オシャレで女子力高めと評判のひなたさん。趣味は、着なくなった衣服を人形の服にリメイクすることです。
今日も人形全員分の服を完成させました。ひなたさんはさっそく人形に新作を着せ替えます。
「うん。とてもステキね」
ひなたさんは自画自賛すると、リビングの明かりを消して寝室へと向かいました。
そして真夜中。何やらゴソゴソと不穏な音が聞こえます。と思っていたら……
「このワンピース素敵」
なんとリエちゃん人形が喋りました。
「このタキシードもイケてる」
今度はジェームズ君人形が喋りました。さらにタケル君人形も「ジェームズ君いいね」と続き、シャーロット人形は「さすがひなたちゃん」と絶賛しました。
何を隠そうこの人形達は真夜中になると自由に動いたり喋ったり出来るのです。みんな鏡に映る自分の姿を見てうっとりしています。
「じゃあそろそろ始めましょう」
鏡の前でポーズを取っていたリエちゃんが言いました。
さあ、ここからは新作お披露目ファッションショーの始まりです。テーブルの上をランウェイに、一人ずつ歩きます。
まずはリエちゃんです。着物の帯をリメイクしたワンピースを見事に着こなしています。帯の花柄がとてもオシャレです。続いてはジェームズ。タキシードがとても決まっていますね。三人目はタケル君。デニムのスカートがGジャンにリメイクされています。ワイルドですねえ。
さあ、トリはシャーロットです。水玉のポーチをミニスカートにリメイクしました。涼しげでとても可愛らしいです。
全員の新作お披露目が終わりました。ここからは恒例の衣装チェンジです。男の子チームと女の子チームに分かれて衣装を交換します。四人が服を脱ぎ始めました。
あれっ、どうしたのでしょう。タケル君だけ浮かない表情でなかなか服を脱ごうとしません。
「どうしたんだ?」
ジェームズ君が尋ねます。すると、タケル君はモジモジしながら言いました。
「タキシードも凄く良いんだけど、本当は他の服が着たいんだ」
タケル君の視線はワンピースに一直線です。
「えっ」とジェームズ君が眉間に皺を寄せて声を上げました。
女子二人も一瞬戸惑った様子を見せました。しかし、何かを察したシャーロットはワンピースを脱ぎ、タケル君に手渡しました。するとタケル君は「ありがとう」と満面の笑みです。さっそくワンピースに着替えました。
「タケル君とっても似合う」
女子たちが大絶賛するとタケル君は恥ずかしそうに笑いながら歩き始めました。俯き加減で歩いていたタケル君も、ランウェイの半ばに差し掛かると、胸を張って堂々とポージングします。眉間に皺を寄せていたジェームズも拍手をしながら女子たちと歓声を上げました。
めでたし、めでたし。あっ、そうそう余談ですが、ジェームズのタキシードは、もともとひなたさんが男子校に通っていたときに着ていた学ランで作ったんです。よく出来ていますねえ。
著者紹介
塚田浩司/柏屋当主。屋代出身。

