おじょこな800字小説
第二十二回「虹色の戦争」
作・塚田浩司
「戦争反対ー。戦争反対ー」
おじいさん、おばあさん、おじさんに、おばさん、お兄さんに、お姉さんが平和を願ってデモ行進をしている。中には小さな子供までいて、ポカンとしながら母親の腕の中でスナック菓子を食べている。
「未来ある子供たちに平和な世の中を、まだ見ぬ子供たちにも光を」
デモ隊のリーダーらしき男が声高に叫んだ。そうか、彼らは自分達だけではなく、未来を見据えて声を上げているのか。
「未来ある子供たちに平和な世の中をー」
もう一度叫んだその時、リーダーが蟻を一匹踏みつけた。夢中で行進しているから、彼はそのことに気づかずに叫び続ける。
先週も彼らは蟻を踏みつけた。僕の父だった。父は僕ら家族の為に砂糖の塊を運んでいた。その帰り道、デモ行進をしている人間に踏み潰された。デモ隊が通り過ぎてから僕は父が持ち帰るはずだった砂糖の塊を拾いに行った。
「人殺しはいけなーい」
デモ隊が通り過ぎ、叫び声が小さくなっていく。僕らはこれから子供が落としていったスナック菓子の食べカスを拾いにいく。
あとがき

今作の挿絵は屋代南高校の生徒さんが美術の授業で描かれた作品です。その授業はSEKAI NO OWARIの「虹色の戦争」という楽曲がテーマでした。生徒さんが絵を描いている間、虹色の戦争の音源を流し、歌詞を頭に入れた上で描かれたそうです。
その話を長門先生からお聞きした時、とても面白いと思いましたし、自分も虹色の戦争をモチーフに小説を書くことを決めました。
虹色の戦争は非常に考えさせられる歌詞なので、ぜひ楽曲を聴きながら読んでいただき、色々と感じていただけたら幸いです。