内川のホタル復活への取り組み

市内戸倉の内川区はかつて蛍の名所として知られ、戦前には「天然記念物内川のほたる」として県の指定を受けたほどだった。しかし昭和30年代に入ると農薬の空中散布によってホタルは全滅。昭和41年には地域を流れる用水の水門も閉じられ、水路自体が姿を消してしまった。

平成12年(2000)、往時を知る住民有志の 「内川に再びホタルを復活させたい」という声が高まり、4月に「内川の蛍を復活させる会」が発会。会員は県内の主なホタルの群生地に出向いて研究を重ね、元の群生地にほど近い柏清水公園下流の水路を生育に適した環境に整備した。翌14年の夏には放流したゲンジボタルが見事に成長し、美しい光で内川の夜を彩った。 

その後も毎年幼虫の飼育と放流は継続され、地元五加小学校の子どもたちも放流に参加。新水路も造成され、徐々にかつての自然に近い環境が整えられてきた。

千曲駅にもほど近い内川のホタルは、いまや多くの見物客が訪れる夏の風物詩となっている。

「復活させる会」の島田克彦さんは 「会員も高齢化してきているが、何とかこれからもこの取り組みを継続していきたい」と語ってくれた。