千曲市(ちくまし)は、長野県北信地域の南東部に位置し、西は冠着山(かむりきやま)、東は鏡台山をはじめとする山地に囲まれています。市の中央を東南から北東に大きく曲がりながら千曲川が流れ、その両岸には平坦部が広がり、北は善光寺平に接しています。
市の総面積は約120平方キロメートルで、山林と千曲川が6割を占めています。千曲川両岸の平坦部は「住宅・市街地ゾーン」、その外側の山林までのエリアは「農業生産推進ゾーン」、山林地帯は「自然保護ゾーン」と大きく3つに分けられます。
千曲市は、昭和初期には埴科郡と更級郡の2つの郡、5町6村から成り立っていました。昭和の大合併を契機に更埴市、戸倉町、上山田町が誕生し、1市2町は隣接する自治体として、ゴミやし尿の共同処理、常備消防や中学校の共同運営など、さまざまな業務で協力しあってきました。近年、行政のスリム化や健全化などを進める地方分権の時代になり、さらに一体化、効率的なまちづくりを推進することを目指して、平成15年9月1日、千曲市が誕生しました。
古くから善光寺参りの精進落としの湯として栄えてきた戸倉上山田温泉は、開湯120年を経て信州屈指の温泉街を形成し、周囲には「さらしなの里」「名月の里」「あんずの里」が広がる魅力ある観光地です。また、千曲川の豊かな水によって育まれた肥沃な大地に恵まれ、「日本一」といわれるトルコギキョウを中心とした花卉栽培、リンゴやブドウなど多品目の果樹栽培が盛んです。さらに、観光とのタイアップによる姨捨棚田のオーナー制度、「一目十万本」といわれる「日本一のあんずの里」など魅力ある農業を進めています。首都圏と北陸圏を結ぶ高速道のジャンクションという立地を活かし、最先端のハイテク産業、精密加工業、食品産業が育っています。
千曲市の人口は58,852人(令和2年国勢調査)で、減少傾向が続いており、他の地方都市同様、少子高齢化が進んでいます。
市内には、あんずの里、姨捨の棚田、戸倉上山田温泉(千曲川河畔)、大池キャンプ場などの名所や、あんずの里スケッチパーク、あんずの里アグリパーク、戸倉宿キティパーク、千曲川萬葉公園、湯の里親水パークなどの公園があります。また、科野の里歴史公園 森将軍塚古墳、城山史跡公園、アートまちかど、ふる里漫画館、稲荷山宿蔵し館、さらしなの里歴史資料館、長野県立歴史館などの史跡や博物館・資料館も豊富です。さらに、武水別神社、放光院長楽寺、長雲寺、水上布奈山神社、智識寺大御堂などの神社・仏閣も点在しています。イベントとしては、あんずまつり、牛に引かれて善光寺詣り、戸倉上山田温泉夏まつり、稲荷山祇園祭、千曲川納涼煙火大会、縄文まつり、森将軍塚まつり、荒砥城まつりなどが開催されています。
千曲市の魅力をPRするキャラクターとして、あんずを広めたといわれる豊姫様をモチーフにした「あん姫」がいます。あんずの花と実を頭にあしらい、戸倉上山田温泉をイメージさせる風呂桶を持っており、千曲市誕生10周年をきっかけに生まれました。
千曲市は、首都圏と北陸圏を結ぶ上信越自動車道と、中央自動車道につながる長野自動車道が結ばれる更埴ジャンクションがあり、高速交通網の要の役を果たしています。
千曲市の文化と歴史
千曲市は古くから歴史的・文化的に重要な地であり、奈良時代から平安時代にかけては「科野(しなの)」と呼ばれた地域の中心でした。この時期には、現在でも有名な「森将軍塚古墳」をはじめとする古墳が築かれ、地域の歴史が色濃く刻まれています。市内には、多くの歴史的建造物や史跡が残り、観光客にその魅力を伝えています。
また、伝統的な工芸や祭りも多く、特に「あんずまつり」や「善光寺詣り」に関連したイベントは、地元住民だけでなく県外からも多くの観光客を集めています。
千曲市の自然
千曲川がもたらす豊かな自然環境は、千曲市の最大の財産の一つです。「姨捨(おばすて)」として知られる棚田は、日本の原風景を今に伝える美しい景観として評価され、夜には「棚田の月」として幻想的な景色を楽しむことができます。また、春になると市内各地で桜やあんずの花が咲き誇り、特に「あんずの里」は「日本一のあんずの里」として知られる観光名所です。
さらに、四季折々の自然を楽しむことができるキャンプ場や公園も充実しており、地元の人々の憩いの場として親しまれています。
千曲市の温泉
千曲市は温泉地としても有名で、「戸倉上山田温泉」は信州でも指折りの温泉街として知られています。120年以上の歴史を持つこの温泉地では、千曲川のほとりに点在する温泉宿で癒しの時間を過ごすことができます。また、泉質の良さから湯治のために訪れる人々も多く、その効能は広く認められています。
温泉街では、地域の特産品を活かしたグルメや土産物も豊富で、観光客に喜ばれています。
千曲市の産業と経済
千曲市の経済は、農業と観光産業を中心に発展しています。特に農業では、日本一と称されるトルコギキョウの栽培が盛んで、全国に出荷されています。また、リンゴやブドウ、あんずといった果物の生産も活発で、地元の直売所や観光農園でその新鮮な味わいを楽しむことができます。
観光産業においては、温泉街や歴史的観光地といった既存の資源に加え、地域住民と連携した新しい取り組みが進んでいます。例えば、姨捨棚田オーナー制度や農業体験プログラムなど、観光客が地域に深く関わることができる仕組みが注目されています。