坂城で幽玄の舞台 第5回 坂城・千曲薪能 坂城能楽教室の子どもたちも披露

坂城で幽玄の舞台 第5回 坂城・千曲薪能 坂城能楽教室の子どもたちも披露

 火入れ式と奉納鍛錬も復活

 坂城町文化センター体育館で8月23日、能と狂言の世界を堪能する「第5回坂城・千曲薪能」が3年ぶりに開催された。この催しはこれまで「坂城びんぐしの里薪能」として、坂城町びんぐしの里公園を舞台に行われてきたもの。千曲市からの参加者もいるため今回から名称を変更した。能楽愛好者らでつくる坂城・千曲薪能実行委員会が主催。冷房が完備された体育館に県内外から詰めかけた300人を超える観客が非日常の舞台に引き込まれ、伝統芸能の幽玄なひとときを堪能した。

 第一部では坂城能楽教室に通う子どもらによる仕舞と連吟「猩々」を披露。第二部では前回2022年には悪天候のため取りやめた厳かな火入れ式と、宮入小左衛門行平氏による迫力のある奉納鍛錬が8年ぶりに執り行われた。その後、野村裕基氏主演の狂言「茶壷」、松木千俊氏主演の能「船弁慶」と続いた。

 坂城町の山村弘町長は「上田や長野の薪能は今年で終わると聞くが、坂城・千曲薪能は続けていきたい。これからも能などの古典文化芸能を知り、学ぶことを大切にしていく」と述べた。

 第一部で仕舞を披露した坂城能楽教室の宇野香澄さん(22)は「多くの観客の前でとても気持ちよく演技ができた。歌うことも舞うことも好きで、『能』は私の好きが集まったもの」と満足げに話した。

 長野市から来た40代の女性は「狂言はおもしろく、能を舞う演者の繊細な動きが素晴らしかった。地域に能の文化が息づいていて、これからも続いてほしい」と話していた。

仕舞と連吟「猩々」(写真上)

能「船弁慶」(写真下)