特集1  清泉大学農学部 ◆「令和9年4月開学建設予定地」の看板立つ

特集1  清泉大学農学部 ◆「令和9年4月開学建設予定地」の看板立つ

清泉大学農学部の校舎の建設予定地となる旧更埴庁舎跡地に8月、「清泉大農学部(仮称)建設予定地 令和9年4月開学予定」の看板が立った。これは千曲市が立てたものだという。来年1月に校舎の着工が始まる予定だ。この看板を見た県の関係者は「若者が集うにぎわいあるキャンパスになればいいね」と期待感を語った。

 校舎の建設事業者は6月に実施された一般競争入札の結果、設計がアーキプラン(長野市)、建設施工が北野建設(同)の北野建設グルーブに決定した。すでに地盤調査など建設の下準備が進められている。敷地面積は約3760平方メートル。このほか実習に使用する農地やハウスなども千曲市内で確保する方針だ。建設費用は約30億円、資金は国の「大学・高専機能強化支援事業」の補助金12億数千万円、清泉大の自己資金と融資の約9億円、千曲市と長野県でそれぞれ4億円の補助金計8億円、今後、補正予算で計上する。

◆盛りだくさんイベントの「プレオープンキャンパス」 9月20日 清泉大と千曲市共催 市民にアピール

 清泉大は千曲市と共催で、9月20日?午前10時から午後3時まで、「市民参加型」のプレオープンキャンパスを千曲市の「信州の幸(めぐみ)あんずホール」で行う。小中学生から大人まで楽しめるイベントとして、千曲市にまつわる問題などが三択で出題される「千曲市クイズ王決定戦」(成績上位者には景品を用意)や、中学生向けに「大学の歩き方」の説明会や「こども科学実験」「VRゴーグル体験」といったイベントも実施する。 清泉大はかなり力を入れている。イベントの目的は、市民の皆さんに、農学部の学びの内容を知ってもらうこと。27年4月の農学部開校に向けて、高校生に入試情報や個別相談の機会も提供する。

 木の花屋、高村商店、長野銘醸の千曲市の農学部設置協議会のメンバーに加えて協議会の他の企業や、千曲商工会議所の会員企業なども「試飲、試食、商品販売」で「あんずホールマルシェ」として参加する予定。

☆「農・地域共創コース」と「食品・発酵コース」に

 協議会では、農学部が開設した後、2028年4月以降、「長野県の清泉大農学部で学ぶからこそ」の独特の科目を設ける。

 2年生を対象に、「信州アグリデサイン学Ⅰ(教室での座学、講義科目)」と「同Ⅱ」、関連した施設へのフィールドワークを取り入れた演習科目のふたつ。協議会の参加企業には、発酵、醸造をはじめ食材の生産、加工の専門家の講義や、各施設への見学や演習のための学生の受け入れなどで授業への協力をお願いしていく方針が示された。

 すでに農学部は、当初の地域創成コースが「農・地域共創コース」に、農芸化学コースは「食品・発酵コース」に名称を変更する。定員は85人。 「農・地域共創コース」は、農業の理論や実践に加えて、経営も学ぶことで農学をベースに地域の課題解決に貢献できる人材を育成する。地域振興を図る「長野モデル」の実現を目指す。

 「食品・発酵コース」は、長野県が誇る味噌や日本酒、ワインなど、発酵や醸造を学び、その発展やマーケット拡大に貢献する人材を育てる。両方のコースともに、環境に配慮し、持続可能な食料供給システムの構築を目指せる人材育成を共通の目的とする。

 

 清泉大は農学部開設に向けて、24年2月に文部科学省の「大学・高専機能強化支援事業」に申請し、6月26日に採択された。同大は25年4月に共学化となった。年内にも同大は、校舎建設をはじめ科目のカリキュラムや教員構成など同大農学部開設への申請を文部科学省に提出する見込みだ。

(特任記者・中澤幸彦)

清泉大学農学部(仮称)建設予定地の立て看板