「ものづくりのまち坂城」  基盤は戦後に築くも今も続く「創意工夫」

「ものづくりのまち坂城」  基盤は戦後に築くも今も続く「創意工夫」

坂城町は南と東は上田市、北は千曲市に隣接し、千曲川の東側には、しなの鉄道、国道18号、西側には主要地方道の長野上田線と上田・坂城バイパス、東側の山並みに沿って高速道の上信越自動車道が走り、交通網が充実している。

 坂城の特徴は、機械・金属加工を中心に多種多様な技術を持つ中小企業が集まり、活躍している点だ。まさに「ものづくりのまち坂城町」。情報を総合すると、そのはじまりは、戦前、東京からの疎開工場を中心とした「金属加工業」にあるという。その多くが地域に定着し、その下請けとして地元企業として発展してきた。そうした中で、ブドウやリンゴのほか、バラやトルコキキョウなどの花卉、そしてねずみ大根。これをおろしたからみうどんやそばは特産となっている。

 戦後は地元主要企業で技術を磨いた社員による「スピン・オフ(分離独立)」による起業が続いた。それを可能にした理由は、地元企業などによる新規参入企業を援助する体制だという。特に自動車部品メーカーなどは、簡単な金属加工からの出発だったため、設備投資が比較的小さかったことも後押しとなったとされる。

独自技術と創意工夫により、高精度で複雑な加工ができて、低コスト・短納期化への対応によって特色ある工業の町として発展してきた。

 しかし、バブル崩壊後の景気低迷にはじまる経営状況の悪化、国際競争の激化、産業構造の変化、少子・高齢化による後継者不足など現在、ものづくりを支える中小企業の経営状況は厳しい状況が続いている。

 坂城町は(公財)さかきテクノセンター、テクノハート坂城協同組合、坂城町商工会の連携によって、技術高度化への支援、人材育成と確保、町制度資金(金融支援)による経営安定化など様々な支援を実施している。

 今後は、これらの支援をより充実させるとともに、企業間の連携に加えて、自治体や組織間の連携、産学官連携を強化し、技術革新・経営革新や新技術・新製品開発の支援など次世代につながる取り組みを積極的に展開していく方針だ。

(ちくま未来新聞特任記者・中澤幸彦)

坂城大橋より坂城方面の遠景

現在建設中の坂城インター線先線工事現場