おじょこな800字小説 第二十七回「赤ちゃん返り」 作・塚田浩司 両親が「たっくーん」と猫撫で声をだしながら俺を嬉しそうに覗き込んでいる。いつもは呼び捨てなのに変だな。しかも、おかしいのはそ
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おじょこな800字小説 作・塚田浩司 第二十六回「散骨」
おじょこな800字小説 第二十六回「散骨」 作・塚田浩司 雅美は白い小瓶を開け、その中身を海に放った。白い塊が海に落ち、白い粉が辺りを舞った。雅美は水面がわずかに揺れるのを見ながら手を合わせた
ちくま800字文学賞 受賞作 発表 佳作受賞作「縁合い」 なぎさ奈緒
ちくま800字文学賞 受賞作 発表 佳作受賞作 「縁合い」 なぎさ奈緒 私の故郷にはある言い伝えがある。 カラスの多い夜は特別な夜店が立つというものだ。子供のころ、一度だけ訪れたことがある。
『第一回 ちくま800字文学賞』 佳作受賞作「非対面型怪奇モデル」 エビハラ
『第一回 ちくま800字文学賞』 佳作受賞作 「非対面型怪奇モデル」 エビハラ 2020年某日、夜。郊外の公会堂に集まる人影があった。 長い黒髪を靡かせ、大きなマスクをした女性の集団は、係員に
ちくま800字文学賞 大賞受賞作「嘘を八百」 田原にか
ちくま800字文学賞 大賞受賞作 「嘘を八百」 田原にか 満月の夜、壮太は美優の言葉を思い出していた。 「人間は一人の相手に対して、800までしか嘘がつけないの。だから嘘を800回言いあおうよ。
おじょこな800字小説 作・塚田浩司 第二十五回「年齢制限」
おじょこな800字小説 第二十五回 「年齢制限」 作・塚田浩司 学校へと歩いていると、一台の車が俺の横に停まり、運転席の窓からクラスメイトの五十嵐が顔を出した。 「乗っていくか、そのペースじ
おじょこな800字小説 作・塚田浩司 第二十四回「さよなら我が家」
おじょこな800字小説 第二十四回 「さよなら我が家」 作・塚田浩司 住み慣れた我が家を離れるのは寂しい。わたしは家の中を歩き回りながら、家の隅々まで目に焼き付けようとした。 居間の柱には無数
おじょこな800字小説 作・塚田浩司 第二十三回「ゾンビ」
おじょこな800字小説 第二十三回 「ゾンビ」 作・塚田浩司 学園はゾンビに支配された。最初は一体だったゾンビが教師や生徒に噛みつき、それが次から次へと伝染し、今は校舎の中も外もゾンビだらけだ。
おじょこな800字小説 ・塚田浩司 第二十二回「虹色の戦争」
おじょこな800字小説 第二十二回「虹色の戦争」 作・塚田浩司 「戦争反対ー。戦争反対ー」 おじいさん、おばあさん、おじさんに、おばさん、お兄さんに、お姉さんが平和を願ってデモ行進をしている。中に
おじょこな800字小説 第二十一回「タイムカプセル」作・塚田浩司
おじょこな800字小説 「タイムカプセル」 作・塚田浩司 小学生の頃、家の庭にタイムカプセルを埋めた。カプセルの中には「二十年後の僕へ」という題の手紙を入れた。二十年前のことだから内容は覚えていない