◆新光電気工業 次期半導体パッケージを量産へ 建設中の新光電気工業千曲工場
新光電気工業(長野市)は、自社のHP(2022年5月19日)で、千曲市に建設する新工場について2024年度下期に稼働すると発表した。世界的な半導体需要が高まる中で、自社製品である高性能半導体向け「フリップチップタイプパッケージ」の生産拡大を展開していく。
新光電気は信濃毎日新聞(6月16日付朝刊経済面)によると、先端半導体向けの次世代型半導体パッケージの量産に向け、千曲市で整備中の工場の敷地内に、別の新棟を建設するとの方針を明らかにしたという。
29年7月の稼働開始を計画しており、約533億円を投資する。デジタル化の進展で拡大する先端半導体市場の需要の取り込みを目指す。経済産業省は同日、経済安全保障推進法に基づき、この設備投資計画に最大約178億円を補助すると発表した。
新光電気は今後の半導体需要について、第5世代(5G)移動通信システムや人工知能(AI)の普及によって、中長期的に大きく伸びると見込む。これまでに、千曲市の新工場建設や本社工場(長野市)などの増産に向けて、1400億円を投じる計画を発表している。
併せて注力するサーバー向けなどの半導体では高機能化や高速化、省電力化が進んでおり、対応する次世代の「フリップチップタイプパッケージ」の需要も高まると見込んでいる。フリップチップタイプパッケージは、配線の高密度化などで、演算に使うロジック半導体チップを1枚の基板に複数載せられるパッケージ(高性能の包装材)を開発した。計画している新たな棟では、これらの量産を目指す。規模などは計画中で、今後示す予定。
経済安全保障推進法は、重要物資の供給網途絶を避けるため、国内生産体制の強化を掲げる。政府は昨年末、同法に基づき半導体や蓄電池などを「特定重要物資」に指定。企業側は供給確保に向けた計画を作ることで支援を受けられる。新光電気工業も計画を作り、6月16日に認定された。
新工場の概要(発表資料より)
【名称】 千曲工場
【所在地】 長野県千曲市雨宮2789-1
【生産品目】 高性能半導体向け フリップチップタイプパッケージ
【土地面積】 51千㎡
【建物】 鉄筋造り6階建て延床面積 50千㎡
フリップチップ=ウェーハ(円形の薄い板)から切り出した半導体 ベアチップを180度反転(フリップ)させ実装する方法