特集② 清泉大学 農学部設置協議会本格的に始動 2025年 助成金獲得の正念場

 特集② 清泉大学 農学部設置協議会本格的に始動 2025年 助成金獲得の正念場

★2024年12月20日に協議会の初会合

 「清泉大農学部設置協議会」(仮称)の第1回の会合が12月20日に開催された。当初は11月中に最終調整の予定だったが、メンバーの選定などで時間がかかったとみられる。当初の有力候補とされた企業からは固辞もあったようだ。

 清泉女学院大学経営企画室によると、この協議会は、大学・高専機能強化支援事業※の要件であり、設置・開催が義務づけられているという。協議会設置に際しては、同大学などの関係者の組織「親泉会」の主要な方々に協議会準備委員会委員となってもらい、協議会メンバーの人選を進めてきた。

 協議会は機能強化支援事業の助成金獲得に影響する組織であり、形式も整えていくことが必要となっている。審議内容については基本的にメンバーに限っての非公開の組織となった。会議の内容は公表されないということだ。

★「清泉大学農学部設置協議会」のメンバー構成

 地域に必要とされる人材について議論し、産業を取り巻く現状と課題について、メンバーが正しく認識し共有して農学部に必要とされる課題を踏まえて、その研究テーマについての知見(知識、見解、考え)を提示してもらう。課題解決型の授業の組み立てのアドバイスをいただく。それが協議会の設置の目的。そして、その過程を含めて評価の対象となるのであろう。

 当初10月末でのメンバーの候補は以下の通りだった。

①酒蔵…長野銘醸(姨捨正宗)、岡崎酒造(亀齢)、千曲錦酒造、酒千蔵野(幻舞)
②ワイナリー…サンクゼール、マンズワイン
③クラフトビール…ヤッホーブルーイング(軽井沢)
④味噌…マルモ青木味噌醤油醸造場。すや亀本店、高村商店
⑤漬物…木の花屋
⑥農産物…ホクト、サンクゼール
⑦飲食関連…藤屋、サンクゼール
⑧農業関係者として、山下フルーツ農園(飯綱町)、永井農場(東御市)

大学関係者…学長、農学部就任予定教員、事務局長、経営企画室

 現時点(24年12月時点)では正式なところは不明である。

 ちくま未来戦略機構の推挙していた「木の花屋」と準備委員会に確認のうえ、候補となりメンバーとなった。キッコーマン子会社のマンズワインは、協議会参加はしなかったが、農学部開設後は、ワイナリーや圃場の見学、短期の職業体験等での協力は可能となったという。

★別のサポート組織も検討

 今後、この協議会とは別に、千曲市の事業者をメインとした「農学部サポート組織」を検討している。具体化するのは校舎建設に一定のめどが立った後になるようだ。千曲市の支援策はまだ明らかになっていない。

支援は旧更埴庁舎跡地を管轄する資産管理の財務各部に横断的にわたるため、とりまとめ役は総合政策課が担当している。

 同大学経営企画室によると、協議会のメンバーについては、これ以上の企業を増やしても業種の重複や、実際の会議運営(日程調整)が困難になるため、「協議会とは別の枠組み」での支援組織を検討している。これがサポート組織にあたるようだ。

☆今後の日程

 2024年12月に「新学部(農学部)設置協議会」のメンバーが確定し、初回の会合を開催して、新年以降に追加の日程を検討していく。

 2025年秋、文部科学省への正式認可申請に向けた書類作成

 内容は、設立の趣旨、教員、カリキュラム、学生確保の見通し、地元自治体、企業との連携について明記。これを受けて補助金が支給される見込み。総額13億円超えとされる。

26年3月前にも校舎着工。文科省への正式認可申請提出。

同年夏に正式認可見込み。
同年夏から学生の募集開始。推薦入試も検討
27年2月 農学部入試
同年2月頃までに校舎竣工、什器備品搬入。
同年4月農学部開校、入学式

(本紙特任記者 中澤幸彦)

文部科学省「大学・高専機能強化支援事業」より

旧更埴庁舎跡地(2024年11月撮影)

※編集部注

「大学・高専機能強化支援事業」デジタル化の急速な進展や世界的な脱炭素の潮流を背景に、デジタル・グリーンなどの成長分野を牽引する高度専門人材の育成に向けて国が基金を創設し、機動的かつ継続的な支援を行うもの。