essay 東京だより(特別編)
こんにちは、イギリス生まれのユーモア作家、P・G・ウッドハウスの翻訳をしております、森村たまきです。今回は特別編といたしまして、屋代高校鳩祭東京鳩会持ち込み企画「キャリア講演会」のお話をいたしましょう。宝塚歌劇団元星組の朱紫令真さんにもご参加いただき「高校生のためのキャリア講座」を、OBたちによる東京お仕事編と朱紫さんによる宝塚編の二本立てで開催いたしました。
朱紫さんによる講演は「後輩たちに伝えたいこと」と題して、中3での宝塚歌劇との出会いから、誰にも告げずに宝塚受験のためひたすら努力した高校時代の思い出、音楽学校時代、現役時代、そして現在に至る内容の濃いものでした。受験のためのレッスンと高校の勉強との二本立ての日々はさすがに厳しく、低迷しがちだった成績は、「基本を大切に、ケアレスミスをなくす」努力を自分に課したところ100番くらい上がったのだそうです。
そして高校2年の3月末にこれが最後と自分で決めた受験。最終試験と数学の補習の日程が重なってしまい、なんとか補習日をずらしてもらって受験ができ、そして合格。誰にも言わずに音楽学校に来てしまったけれど、最初の夏休みに里帰りした際には高校を訪れ、みんなが出迎えてくれてうれしかったそうです。
厳しいことで知られる音楽学校のお稽古やお掃除の苦労は、「屋代高校で応援練習をしていたから」苦にならなかったそう。「お掃除で一度言われたことはメモを取らずに覚える」というような一見理不尽に思えたルールも、入団して舞台に乗ってメモとる間もなく指示をこなす必要に迫られてみて、「このための訓練だったのか」と腑に落ちたそうです。
入団時には星組同期内で8人中7位だった成績も、毎日の劇団レッスンに欠かさず参加して「基本を大切に」努力を続けることで、入団5年目の最終試験では組内首席となり、遂には新人公演で二番手役を任せられるまでになられたのでした。つくづく努力の方なのです。
ご退団後は愛する地元長野で地域密着型タレントとして活動する一方、今年度からは松本歯科大学で非常勤講師として教鞭をとってておいでで、長野県歯科医師会の「長野県健口大使」としてCMでもご活躍中です。
少人数での開催となりましたが、和気藹々とした雰囲気の中、ご来場者の方々と記念写真を撮ったり、楽しい講演会となりました。 朱紫さん、ありがとうございました。

著者紹介 森村たまき
翻訳家 内川出身