「ラブラドールビーンズコーヒー」 坂城町と高倉健さんの絆 コーヒーショップに展示された愛用ジャンパー

「ラブラドールビーンズコーヒー」 坂城町と高倉健さんの絆 コーヒーショップに展示された愛用ジャンパー

2018年11月に坂城町にオープンした自家焙煎珈琲店「ラブラドールビーンズコーヒー」。ここに大スター・高倉健さんがハリウッド映画「ミスター・ベースボール」の撮影時、身に付けていたジャンパーが飾られている。そのいきさつについて代表の中曽根謙二さんは「高倉健さんを初めて坂城にお連れしたのは私の兄なんです」と話す。

 謙二さんのお兄さん、中曽根信一さんは80年代に渋カジファッションを広めた伝説のバイヤーである。信一さんのお店には数多くの芸能人が訪れ、その一人が高倉健さんだった。信一さんが高倉さんと坂城の町との知られざるエピソードについて今回特別に明かしてくれた。

 信一さんは映画「鉄道員」(ぽっぽや)の撮影時に高倉さんへ特注のジャンパーを贈った。お店のジャンパーは、その御礼に頂いた物だ。高倉さんが亡くなった後、沈黙を守ってきた信一さんが秘話を公開する気持ちになったきっかけの一つは、弟の謙二さんが地元坂城で珈琲店を開業したこと。イメージとは異なり高倉さんは下戸だったことが知られているが、大のコーヒー愛好家でもあった。信一さんも商品の買い付けなどで訪米のたびに珈琲豆をお土産に買って渡していたという。その高倉さんのジャンパーが坂城の珈琲屋に飾られるようになった経緯は、高倉さんと坂城町との繋がりを語る上で避けられないストーリーであり、それを公開するのは高倉さんの生誕90年を迎えたいまなのでないかと考えたという。

 高倉さんと坂城町の縁は30年ほど前までさかのぼる。坂城町の刀匠・宮入小左衛門行平さんと幼馴染みで親友である信一さんは、宮入さんが作った鉄製のお守りを高倉さんにプレゼントしようとした。それが刀用の鉄で出来ていることを知った高倉さんは「繋がりってすごいですね」と驚いた。実は昔高倉さんは人間国宝の先代・宮入行平刀匠に刀をオーダーしようとして、果たせなかったことがあったからだ。この偶然な巡り合わせに高倉さんは、すぐさま翌週に信一さんとともに坂城を訪問。その後宮入家、中曽根家との長年にわたる交流が始まる。時には高倉さん一人で車を運転して来ることもあったという。坂城の風土が気に入った高倉さんは「高台のリンゴ園の上に家を建てたい」とまで話していたほどだった。

 だが、お忍びで訪れていた高倉さんと坂城町との繋がりを知る人は数少ない。信一さんは「高倉健さんがこれほど坂城の町を愛していたことが知られないのは悲しい。これまでは伏せていたが、高倉さんがいかに坂城町を愛していたか少しでも多くの方に知ってほしい」と熱い思いを語った。

立派な額装に収められている高倉健さんのジャンパー

ラブラドールビーンズコーヒー

<店舗情報> 営業時間 12:00~18:00 TEL&FAX 0268-82-0159