「上山田温泉物語」第8回 激動の観光ブーム「松代群発地震」と「天と地と」

「上山田温泉物語」第8回 激動の観光ブーム「松代群発地震」と「天と地と」

 激動の観光ブーム「松代群発地震」と「天と地と」

 団臨と周遊券で順調に伸びてきた観光も、大きな波を受けることになる。

 1965年8月に始まった松代群発地震である。1966年にピークを迎え1967年末に収束するまで、多い日で600回を超える有感地震、期間中10回を超える震度5の地震が発生した。小学校の木造校舎には材木で支え棒があてられた。日常生活にも支障が出た。影響で戸倉上山田温泉の入湯客数は激減した。旅館も経営的に厳しいところが出た。

 しかしながら地震の収束後には1967年の「善光寺ご開帳」、そして1969年に放送されたNHK大河ドラ「天と地と」がカンフル剤となった。川中島古戦場には信玄・謙信一騎討ちの像が立てられ、一躍観光バスが押し寄せた。

 以後6年ごと開催されるご開帳とその翌年に開催される諏訪の御柱祭、またNHK大河ドラマも、武田信玄(1988)、風林火山(2007)、真田丸(2016)、NHK水曜ドラマ真田太平記(1985)等の放映は、は戸倉上山田温泉のみならず長野県の集客に大きく寄与した。イベントや大河ドラマの後は反動で入込客が減少する。観光業界の常識ではイベント集客数に二度と届くことはないといわれる。ところが戸倉上山田温泉はこれらの影響を受け、ますます団体に特化していった。

 現在のファミリーマートの角に川中島バスの車庫営業所があった。その後現在の上山田文化会館の場所に移転され、定期観光バスや松本行きの定期バスなど広域交通の拠点となった。バスも「戸倉駅」「国道連絡バス」が温泉街を通り、大正橋を渡り、国鉄戸倉駅、国道18号線での臼田特急バスなど幹線交通網と路線がつないでいた。

 これがマイカーブームまで続いていく。