【特別企画】 ◆2026私の未来戦略
2026年は「丙午(ひのえうま)」の年。午年は火の力を象徴する年とされていますが、過去には「八百屋お七」の伝承等から「丙午」生まれを忌避する風習がありました。前回60年前の「丙午」の昭和41年は出産が控えられ、その結果、出生数が前年から25%も減少しました。しかし、現在ではこのような言い伝えは悪い迷信となり「陽」や「火」を意味する「丙」と「火の気が強まる時期」の「午」が重なる「情熱と行動力」の一年として期待が高まっています。
千曲市にゆかりのある皆さんに新年に当たっての熱い想い「未来戦略」をお聞きしました。
フリーアナウンサー 海野紀恵さん(千曲市倉科出身)
私は2022年に約20年ぶりに地元千曲市に戻り、僧侶・フリーアナウンサーとして活動しています。
今後、実家でもあるお寺を受け継ぐことができるよう準備を進めているのですが、「お寺の役割とは何か」を日々考えています。そして今、お寺が地域の「繋ぎ目」になれたら、というビジョンが浮かんでいます。千曲市には素晴らしい産業や文化があります。その産業や文化、また様々な人々がお寺という場所で繋がることができたら楽しそうだな、と妄想しています。私の実家でもある本覺寺では、地元のワインとお料理を楽しめるワイン会や、音楽を楽しむイベント、お彼岸のお茶のご接待など、季節ごとに行事があります。そこには地元の人も、県外から来られた人も、年齢も職業も様々な人たちが集まります。その人たちが、一緒にワインを味わったり、音楽を楽しんだり、会話をして繋がっていく。仏教には「すべてのものは関わりあって存在している」という「縁起」という考え方があります。行事に参加してくださる皆さんの様子を見ているとこの「縁起」を実感できます。本覺寺はとても小さなお寺ですが、様々なものが繋がっていると実感できるような場所になれたら素敵ではないかと考えています。2026年も多くのチャレンジをしていきたいです。

海野紀恵さん
料理研究家 高野玲さん(千曲市埴生出身)
正月太りがまだ尾を引いているというのに・・・。食べることが大好きな私の頭の中は、すでに味噌仕込みのことでいっぱいです。それにしても、結婚当初はお味噌汁の出汁の取り方すら知らなかった私が、今では味噌を手作りしているのですから、当時の私が知ったら腰を抜かすでしょう。
お店で買えるものを、わざわざ手間暇かけて仕込むことは、「時短」や「簡単」が主流の時代には逆行しているかもしれません。それでも毎年ワクワクしてしまうのは、その一手間が食卓に楽しみや癒しを運んでくれるから。手作り味噌には、戻るとほっとする故郷のような味わいがあるのです。
昔の私は都会に憧れていましたが、故郷を離れたことで、長野の豊かな自然や旬の恵みのありがたさに気づきました。それと同じように、外に楽しさ豊かさを求めずとも、毎日の食卓には、旬を味わう喜び、ホッとできる癒し、ご飯で弾む会話・・・豊かさがたくさんあります。
今年もそんな豊かさを、多くの方と分かち合える一年にしたいと、今からワクワクしています。

高野玲さん
長野県立歴史館文献史料課長 村石正行さん(千曲市屋代在住)
20代の終わりに旧更埴市に拠点を移し25年。人生の半分近くをこの街と歩んできた。
市の中央を千曲川が貫流する。西部は「月の都」姨捨の棚田、稲荷山の伝統的建物群。戸倉・上山田には精進落としで有名な豊富ないで湯。上杉謙信が願文を奉じた武水別神社。河東地域には、教科書にも載る森将軍塚。家康の「軍師」屋代氏の居城一重山もある。屋代木簡の出た更埴条里は古代の痕跡、雨宮神事は今も残る文化的な景観といっていい。宗良親王の髻塚などという、その手の筋ではレアな史跡もある。市内には博物館施設も多い。なんと豊かな文化の香り高い街だろうか。
さて、以下はよそ者の戯れ言。こんなに豊かな文化財。個々の魅力は綺羅星のごとし。この点が、線となり、線が面になれば、言うことなし。文化財を育むのが地域であり人である。これを「文化」といってもいいだろう。
文化財保護法が改正された。地域の文化財の魅力を市民が改めて知り、その魅力を内外に発信していこう、それが後世へ地域文化を継承するみち筋だ、という趣旨だ。
スマートインターが新たにできる。近くには市立森将軍塚古墳館・県立歴史館がある。であるなら、この地の利を生かしたい。博物館施設を拠点に一重山・有明山、更埴条里、雨宮日吉神社を面としてとらえる文化施策を望みたい。
文化は種々の構成物からなる。これが文化「財」。私は文化「財」を後世に継承し、守っていくために最も必要なのは人「財」だと思う。これは博物館専門職員(学芸員)だけを指すのではない。地域移行した千曲・坂城の中学生「歴史・科学クラブ」の活動が紹介されていた(「信濃毎日新聞」11月30日号)。今年度は山城の狼煙再現、古代米の栽培など行っているという。
文化財のサポーターとなる彼らこそ地域の文化財の魅力を後世に伝える「人材」であり、千曲市にとっての「人財」だ。市民の一人として、ぜひ応援していきたい。

村石正行さん
国土交通省前事務次官 和田信貴さん(千曲市八幡出身)
この千曲市は伝統が多くいろんな地域が集まっています。それぞれの地域がそれぞれの伝統と重みがある。でも、地域の外の人から見ると、もうちょっとまとまって一つのシンボルがあった方がわかりやすい。少しずつそれぞれの良いところが他のところでもわかるような融合の仕方ですね。「この地域は俺たちだけでみてるんだ」じゃなくて、もうちょっと分かち合うみたいな。そういったことを観光の観点とか考えていったら、ちょうど大学やなんかもできるっていうことも踏まえれば、若い人に発信していけるのかなと思います。
それから、その地域間の融合みたいなものと、事業されている方と生活されている方の地域の融合っていうのは、あったらいいんじゃないかなと思います。本当に立派な温泉街がある訳ですから、ゆっくりと散歩したり、公園を見たり、中にはちょっと買い物をしたりと。これってやはり元々地域の人と一緒にやっているからこそ、それが輝いて見えるっていうところがありますから。日々の生活空間としての公園で和みのあるところは観光客から見ても良い。そんなような回り方ができていったら…。
まさに夢物語みたいなこと一杯言っていますが、私が今言ったようなことが全て良いと言っている訳ではありません。あくまでもブレインストーミング的に言っているだけなんで。大学が来るというのを千載一遇のきっかけにして考えて頂いたら、より良い地域になっていくんじゃないかなと思います。
(10月25日・ちくま未来戦略サロンでの講演内容から抄録)

和田信貴さん
