さらはにズム ちくま論説 25年5月

さらはにズム ちくま論説

 ▼新年度より屋代駅市民ギャラリーの案内所が閉鎖された。窓口での図書業務が廃止され、屋代駅での図書館の本の取り寄せや返却は出来なくなった。利用者からは惜しむ声もある。更埴図書館の小岩館長によれば「市民ギャラリーの図書利用が多かったことは把握している。今後は移動図書館の巡回頻度を増やしたい」とのことだった。

▼一方、市民ギャラリーは近年利用者が減少していたことから、市では子ども・若者の活動を応援する施設(千曲市屋代駅ユースステーション)への転換を図っている。施設の貸し出しを原則「子どもや若者の支援に関する催し」に限定するという方針である。総合政策課では4月17日まで改正骨子案に対するパブリックコメントを募った。

▼市は昨年3月に「こどもまんなか宣言」を定めて「すべてのこどもが幸せに暮らせる千曲市」を目指している。子どもの居場所づくりという点からも施設の新しい利用法は大いに期待されるところだ。昨年度から貸出の無い期間は自由に使える「交流スペース」として開放されたことにより、小中学生や高校生が勉強をしたり、ゲームを楽しんだり、会話に興じたりイヤホンで音楽を聴くなど様々な姿が見られた。読書をする生徒も多かったと感じる。

▼十年前、鎌倉市図書館が発信した「死ぬほどつらい子は図書館へいらっしゃい」というメッセージが全国で大きな反響を呼んだ。不登校や自殺を考える子どもたちに対して図書館が家庭、学校以外の第三の居場所としての役割を提示した意義は大きかった。

▼そこで市民ギャラリーの新たな利用法の一つとして、読書の場としての活用も提案したい。今後も行政側から何らかの図書の提供は出来ないものだろうか。施設が子どもや若者が自由に無料で本が読める場であってほしいと思う。(W・S)