さらはにズム ちくま論説 26年02月
▼姨捨の千曲市日本遺産センター内にフランス菓子の工房が先月オープン、早速出かけたところほとんど売り切れだった。残りのお菓子「カセノワゼット」を買った。お店の名前が、フランス語で土地や風土という意味の「テロワール」。明るく楽しいムードだった。
▼ただこの名所旧跡の「姨捨」は、店舗営業にとって立地的には大変厳しいロケーションで、今まで蕎麦屋さん、イタリアンのお店などがチャレンジし「姨捨」での活性に貢献すべく頑張ってきたが、耐えられず、已む無くクローズ。テロワールさんには盛況を祈るばかりだ。
▼千曲市にとって「姨捨」はキー・ブランドの一つであるので、千曲市としてももう少し姨捨エリア全体を有機的に捉えて投資すべきではないか。例えば、日本遺産センターの年間展示事業の展開、長楽寺、テロワールとのコラボ、俳句のメッカとしての事業など年間を通じての展開など、特に姨捨は古来東国屈指の歌枕であり、俳枕でもあることから内外ともに千曲市より短歌俳句関係の情報を遍く発信すべきではないか。
▼今年は小林一茶没後200年。一茶研究の第一人者矢羽勝幸氏が、姨捨に一茶の句碑が一基も無いと嘆いておられた。また、明和六年(1769)姨捨長楽寺の境内に芭蕉面影塚を建立し、芭蕉の弟子として芭蕉風の俳句を歴史的に定着させた加舎白雄や、天保十年(1839)頃、姨捨に観月、桑原に定住し、一茶評価に貢献した小林迎祥は、千曲市民たる者、記憶に留めて欲しいと強く望まれている。
▼先月八幡の武水別神社神官松田邸へ「羽柴千句」九巻の原本を拝みに行った。昨年松田邸の関係資料の中から発見された原本で、現在知られるかぎり全国唯一の逸財だそうだ。天正六年(1578)織田信長から毛利氏攻めの命令を受けた秀吉の戦勝祈願のために詠まれた千句連歌だ。一巻から十巻のうちの第九巻の100句。これも芭蕉、一茶ゆかりの千曲市ならではの新しい「お宝」だ。故郷は心の港梅の花 久雄(屋代出身) 望郷の友より
