さらはにズム ちくま論説
▼明治42年4月。埴科郡の屋代町・杭瀬下村・森村・倉科村の1町3か村が、長野県組合立埴科農蚕学校の開校式を挙行。地域発展のため人材育成をかかげ、新しい農業、地域づくりが急務であった。当日は132名が入学、113年後の今日まで18000名を超える生徒が巣立っている。現在の屋代南高等学校である。
▼今、その「やなみ」の存続が危ぶまれている。この5月県教育委員会は、県立高校第2期再編3次案を提示。屋代南高校普通科ライフデザイン科と、更級農業高校農業科、松代高校の商業科を長野千曲総合技術新校(仮称)に統合、新校の立地は未定、というもの。
▼2016年に結成された「屋代南高校を発展させる会」は昨年7月、DX時代のニーズに応える情報科、ライフデザイン科、介護福祉科など、第3の総合技術高校として存続発展させることを目指して行くことを決め、9月に県教委へ要望したが、今年2月に「発展させる会」では、県教委の再編3次案を受け入れることとなった。
▼先月の市議会で、「発展させる会」について、今までの経緯や活動状況など市民に情報公開すべきとの質疑があり、「会」の会長でもある市長は、今後「会」を窓口に地域の総意として高校を現地へ残すよう県へ要望するとの考えを示した。
▼千曲商工会議所と戸倉上山田商工会は、千曲市に高校が一校無くなることを危惧、経済界の立場から県教委へ要望。屋代南高校は、未来の地域社会を担う人材を育てる大切なインフラで、市が目指す「文化伝承創造都市」の文化財の最たるものであり、また近い将来進出が決まっているAI、IT関連企業などとのコンソーシアムを構築し、地域振興の核としても不可欠であると強調。24日には新校誘致運動の新たな組織立ち上げの提案書を小川市長に提出し、これから市を挙げて存続実現に向けて共に運動することとなった。
▼この運動は市民一人一人の参加なしでは決して実現できない。過去の新幹線新駅や大型店誘致の失敗の二の舞はごめんだ!【第7面に関連記事】