さらはにズム ちくま論説 2023年7月

さらはにズム ちくま論説

▼阿部守一知事は昨年、四選を果たしてから県内の77市町村をそれぞれ訪ねて、地域の県民との対話集会を行っている。千曲市でも今年一月に実施された。有機農法の振興や地元特産のあんずをどう次の世代につなげていくかといった意見が出されて、県からの協力や助言を求めていた。この席で阿部知事は「私が言ったり、県の計画に書いたりしただけでは広がらない。一緒に考えていきたい」と述べるとともに、「森のあんずの担い手確保は地域振興局と一緒に考えてほしい」と県に頼るだけではなく、ともに考えていこうという意思を示していた。

▼後日、この千曲市との対話集会に参加した県のある幹部は「千曲市は、魅力あるものがいくつもあるのに、単独でバラバラでアピールしようとしている。もっと連携を考えたほうかいい」と指摘した。併せて、ほかの地域に比べてみると「南信の自治体は、自主独立の気持ちと直面している問題は何かタイムリーに意識している。さらに他の地域と連携して、アイデアを出して実行していく気概をより強く感じた」と明かした。

▼簡単に比較はできないかもしれないが、千曲市では、例えば、県立屋代南高校と他の高校との統合再編問題や、高速道路のスマートインターと関連道路の整備計画の在り方をはじめ対話集会でタイミングよく取り上げるべき課題はあったはずだ。地域の発展を考えるならば、行政はもっと目線を低くして、市民に向き合ってもらいたい。