『認知症世界の歩き方』
筧裕介著 ライツ社刊
この本の中では、認知症による心身機能障害を44のトラブルや障がいに分けて説明しています。あたかも認知症を一つの世界に見立てて旅行をしているかのごとく、旅行記のように13のストーリーとしてまとめ、世界観を表す絶妙なネーミングがつけられています。「とにかく『本人』の視点で認知症を知ることのできる本を目指しました。」と最初に書かれているだけあり、認知症についての解説がイラストを使いながら患者主観で表現され、また患者による体験も多く記載されていることで、とてもわかりやすい内容となっています。
認知症を患った人の気持ちというのは、いわばパンドラの箱を開けるかのごとくタブーとも考えられていたことなのかもしれません。身近な人で認知症を患ってしまったけど、どう対応したら良いかがわからない。どのような症状がそれにあたるのか?自分にできることは何か?また自分自身の行動も、実は認知症の予備軍なのかもとチェックできるかもしれません。
一番大切なことは少しでも生きづらさを感じさせないようにすること。患者本人にどのようなことが起こっているのか、寄り添って周りが理解することが大切です。まずは最初に疑問を感じた時、認知症について学ぶための入門書として開いてみてはいかがでしょう。
(文:田中一樹)
価格1900 円(+税)
屋代西沢書店ほか県内書店で発売中。