ちくま論説 さらはにズム 25年11月

ちくま論説 さらはにズム

 ▼TVアニメ「Turkey!」が最終回を迎えた。千曲市を舞台に女子高生、ボウリング、タイムスリップ、戦国時代と構成要素が複雑だったが、最終回の動画配信では高評価が80%に達し、完走したファンの満足度は高いようだ。BSで全国放送されたことで所謂「聖地巡礼」に訪れる人も多くご当地アニメとしては十分な反響があったと言えるのではないだろうか。

▼一方で戦国時代が舞台となったことで現在の千曲市の街並みや部活のボウリング競技を楽しみにしていた層からは残念がる声も聞かれる。特に後者に関してはやや強引な展開も見受けられ、ネット上では「トンデモ」や「怪作」の名を冠することも。それでもジェットコースター的なストーリーはネットをざわつかせ続け、特に終盤でのデスゲームによるクライマックス対決は絶妙に戦国物とボウリングを融合させており膝を打つものだった。抗がん剤による闘病を続けながら、この困難な題材を仕上げた脚本の蛭田直美さんには大きく敬意を表したい。初回の伏線回収もお見事だった。途中で視聴を断念したという人にもお勧めできる作品である。

▼彼女たちのひと夏の物語は終幕となったが、千曲市では10月から市内各地を巡るスタンプラリーも開始、期間は一年間としている。完結後もスタッフやファンの熱量は高く、その後のボウリング部の活躍を描くスピンオフ作品も描けそうではある。一市民、一ファンとして夢の続きを期待したい。(W・S)