▼11月1日と2日、上山田文化会館で第54回上山田文化祭が開催された。ホワイエと会議室には市民の作品が展示、ホールでは「ふれあいのど自慢大会」や舞台発表が行われて多くの市民が集まった。また、8日と9日は第17回千曲音楽祭で市内外で活動する音楽団体や小学校から26組が一堂に会し、見事な演奏や歌声を披露した。
▼上山田文化会館は昭和55年(1980)5月に県内で本格的なホールを備えた文化施設の先駆けとして開館。大ホールは952席もの固定席を有し、千曲市内の文化施設で最大の規模を誇る。なお、建設時には温泉旅館組合が建設補助金として5000万円の寄付を行った。長年成人式をはじめ大規模なイベントやコンサートなどの公演に利用されてきたほか、温泉街の立地を生かして文化事業と観光を連携した貸館事業を展開している。だが、竣工から半世紀近くが経ち、設備の老朽化が深刻だという。
▼現在施設内の空調を担うガスヒートポンプ(GHP)は6台のうち4台が故障中。今年度はホール舞台裏のリハーサル室などでGHPに代わるエアコン空調機を設置したが、まだ一部のエリアでは冷暖房の使用に支障が出ている。危機感を持った上山田文化団体連合会など市民団体と戸倉上山田温泉旅館組合連合会は10月に小川市長を訪問し、連名で館の改修と存続に関する要望書を提出した。文化団体連合会顧問の金子好典さんは「市長の反応は良かった。ここからが第一歩」と語る。会館では現在も工事を進めていて来年度には楽屋と和室のエアコン設置を実施したい意向だ。
▼毎年4月に誕生祭が開かれ、実行委員会で清掃を行うなど地域住民に親しまれてきた上山田文化会館。公演を続けてきた文化関係団体の愛着も深い。いま検討されている市の公共施設等総合管理計画でどの様に永続的な活用策が示されるか期待したい。(W・S)
