コラム 漢字と花 向日葵・天竺葵・日輪草 ひまわり

コラム 漢字と花 向日葵・天竺葵・日輪草 ひまわり

 「夏」アルタイ諸語の「若い」・「新鮮な」の原義の語と同源かといわれる。

 四季のうちで最も高温で、日照時間が長くあらゆる生命体が躍動する時期です。

 呂祖謙編纂の臥遊録に「夏山蒼翠にして滴る如く」山の木々が瑞々しく青々と繁っている風景です。里に降りてくると、農家の庭に数輪の金色に輝く大輪の花、日本の夏の風景が瞼に浮かんできます。向日葵の花です。

 向日葵はキク科ヒマワリ属の一年草。

 属名ヘリアントウスは希臘語のヘリオス(太陽)とアントス(花)に由来し、太陽の花の意。

 太陽の動きに従って花は回ると信じられていたことから名付けられたが、実際には莟が花開くときだけです。

 原産地は北米大陸の南部から、南米の秘露近辺と考えられています。

 北米の原住民達(インディアン)は、アリゾナやニューメキシコで紀元前二千年頃から向日葵を栽培していたとか、一説によると世界三大穀物の玉蜀黍より古い歴史を持っているようです。

 原住民達は種子を挽いて粉末状にして、菓子や麺麭(麪包・麪麭 葡萄牙語)を作っていたほか 種子を裂いて食べていた。また麺麭を焼く際に、向日葵の種から搾り取った油を使っていたようです。

 南米の秘露(白露)を中心にケチュア族が築いた國、インカ帝国は太陽神を信仰した國で、向日葵を太陽神の象徴としていました。向日葵の花形を石に彫った物が現存しています。

 この様な歴史から、秘露の国花は向日葵です。千五百三十三年西班牙の軍人フランシスコ・ピサロにより帝国は滅亡の憂目をみます。この頃西班牙人により向日葵の種子が持ち出され、十六世紀の半ばには、馬徳里の西班牙王立植物園で大輪の花を見ることが出来ました。

 向日葵は西班牙では「秘露の黄金の花」・「インディアンの太陽の花」独逸では「太陽の王冠」と呼ばれていました。

(山田信彰)