シリーズ「未来への提案」 その後を振り返る(1)
本紙では、「令和2年2月に創刊以降、まちの未来に関わる話題をテーマにその動きや課題を探ってきたが、読者の皆様から『シリーズ・未来への提案』はその後どうなったのか」との声が寄せられた。現在の状況を追ってみた。
◆第8号(R2・9月号)
駅とまちづくり① 屋代駅
屋代駅の年間利用客は最盛期には200万人だったが今はその半分以下の約80万人。駅前通り商店街も生鮮三品のお店は無くなり郊外のスーパーやコンビニに客足を奪われ活気がなくなってきている。
そんな中で同年7月に行われた「みんなの屋代駅コンテスト」ではいろいろな年齢層からユニークなアイデアが出された。
また草茫々の旧河東屋代線敷地やテニスコートの活用、一重山・森将軍塚への回遊起点としての屋代駅周辺整備を「夢とロマンのある未来戦略の切り口」として具体的に取り組むことが提言された。
これについては市の中心市街地活性化基本計画の中で実現をめざすとしていたが、同計画は本年3月で終了してしまった。多くの市民の貴重な提案にどう応えていくかは不明だ。
◆第9号(R2・10月号)
駅とまちづくり② 戸倉駅
かつては特急停車駅だった戸倉駅。列車利用の温泉客やエレベーター未整備による高齢者利用減少などが課題との認識の下、千曲川サイクリングロードと鉄道のターミナルとして、旅館へ荷物などを移送するサービスによる活性化策などを提言した。
新幹線新駅の議論は設置不可となったが、交通インフラの変化は地域の発展盛衰に大きな変化をもたらすことから、地域づくりを総合的に語り合う場と議論が必要との意見であった。
昨年度、市の総合計画策定に合わせて戸倉駅周辺の活性化策が研究されたようだが具体的にはなっていない。ただエレベーターの設置だけは市の強い働きかけで来年早々に設置される見通しだ。
◆第15号(R3・4月号)
駅とまちづくり③ 姨捨駅
日本三大車窓の眺望で知られる市内唯一のJR駅。これまで無人化や施設の整理などが進んだが、豪華寝台列車・四季島号の運行に伴い、善光寺平眺望の駅として甦ることになり駅舎の改装や新たなラウンジが新設された。
姨捨の棚田などが日本遺産の指定を受けたことから、姨捨駅は千曲市への西の玄関口として大きな役割を担うことになることから、JRとの連携・協力を求めての積極的な働きかけを提言。だが、管理者であるJR東日本長野支社の関心は低いようだ。
鉄道駅は経済的・社会的・文化的活動の拠点並びに都市の顔であるが、肝心のしなの鉄道及びJRの認識はどうなのか。また、駅と地域を結ぶ交通体系の再確立等、改めて《駅とまちづくり》に対する共通理解の徹底が急務ではないか。(次号に続く)
しなの鉄道 戸倉駅
(2022年2月撮影)