今月のちくま百景 笄の渡し(坂城町苅屋原)

 今月のちくま百景 笄の渡し(坂城町苅屋原)

今年は信濃の戦国武将・村上義清没後450年に当たる。現在の坂城町苅屋原と千曲市力石とを船で行き来した千曲川の渡し場「笄の渡し」には義清に関する伝承が残されている。いまから470年前の天文22年(1553年)4月、屋代氏を始めとする村上方の諸将が武田氏に降伏したため、義清は居城である葛尾城を捨てて落ち延びることとなる。この時義清の奥方らは荒砥城を目指し千曲川対岸の力石方面に逃れた。その際に危険を冒し船を出してくれた船頭に対し、奥方がお礼として髪に挿していた笄を贈ったというものである。その後奥方は敵方に包囲され自刃したとも伝わる(坂城町上平には奥方を偲ぶ「姫宮の跡碑」が建てられている)。

苅屋原ミニパーク

 「笄の渡し」跡地には昭和60年に笄橋完成記念碑が建立。周囲は現在「苅屋原ミニパーク」(平成元年竣工)として整備されており、かつての千曲川の渡し場と眼前にそびえる葛尾城跡を仰ぎ見ることができる。