千曲市『山城』散歩 第十一回 唐崎城
唐崎城は雨宮、土口、生萱にまたがる唐崎山にある城だ。別名「朝日山城」「藤崎城」とも呼ばれる。村上氏の氏族であった雨宮氏が築いたと伝えられている。中世には、北麓を千曲川が流れ、その間を通って土口の堂平を越え松代へ向かう道があった。周囲には有名な「雨宮の渡し」もある。
すぐ麓には生仁城(館)跡があったとされ、村上氏が2度にわたって戦いで立てこもった歴史がある。第三代将軍、足利義満の時代、1347年に村上頼国は守護に反旗を掲げて善光寺平で戦って敗れ、生仁城に立て籠もり再挙を計って失敗。1400年の大塔合戦から3年後、村上満信が東北信の各氏らと守護代に対して再び戦いを始め、生仁城に拠ったが防戦できずに、塩崎新城に立て籠もったものの、10月に落城している。
生仁城跡は現存しないが、昭和42年に遺跡の発掘調査が行われており、弥生時代の住居跡3棟、古墳時代の住居跡14棟、奈良~平安時代の住居跡5棟と、中世の墳墓が検出されている。当時の雨宮小学校児童が発掘調査を見学したそうだ。
唐崎城は標高478m。麓の招魂社から登り、20分ほどで主郭に到着する。道はよく整備されて登りやすい。冬場は木々が葉を落とし、見晴らしがよく、遠くアルプスも見える。眼下に眠る遺跡に思いを馳せながら、山城歩きを楽しんでみてはいかがだろうか。
<参考文献>「生萱ぶらり歴史さんぽ」生萱を知る会編集委員、千曲市生萱区、2021年
唐崎城
生仁城(館)跡