千曲市日本遺産センター グランドオープン迫る
『月の都』関連イベントも複数開催 姨捨・棚田の新観光スポット
長楽寺や棚田散策の休憩スポットとして利用されてきた姨捨観光会館は、千曲市日本遺産センターとして今年4月に開館(プレオープン)した。その後も改修工事を進めてきたが、いよいよ12月22日にグランドオープンを迎える。センターの延べ床面積は362.8平方メートル。室内は「月の都 千曲」の日本遺産認定に関わる文化財の展示施設・売店に加え、新たにレストランを整備。長野市の業者がイタリア料理店を出店し営業を開始することとなった。店名はイタリア語で名月を意味する「イル・ルーナ(IL LUNA)」。ランチセットメニューのほか、信州りんごジュースやハウスワインなども提供する。
今年度の日本遺産推進事業
センターの改修には観光拠点整備事業として23,045千円の事業費が投じられている(うち国庫補助率65%)。
また、今年度日本遺産の推進事業としては「月の都 千曲」ガイドの養成講座の開催や、来訪者等動向分析調査が実施中のほかこの秋、普及啓発事業として宇宙飛行士・油井亀美也さんの講演会、構成文化財のモニターツアーも行われた。こちらも国庫補助事業として文化芸術振興費補助金によって全額が賄われる。【第3面に関連記事】
市では千曲市日本遺産推進協議会を設立して、各種団体等の代表者の委員による協議も進めているところだ。
一方で日本遺産への関心を高めようという市民の間の活動も盛んになっている。地域づくり団体の「さらしなルネサンス」では、小中学生に姨捨などさらしなの里の魅力を発見してもらう写真コンテストを開催した。【第4面に関連記事】
棚田のライトアップも実施
信州さらしな「田毎の月」プロジェクト(武井音兵衛会長)は歌川広重が描いた浮世絵「更科田毎月鏡台山」をLEDライトで再現しようという企画。姪石苑周辺で棚田の畔にペットボタルという太陽光で蓄電するLEDライトを設置して、夜間のライトアップを行っている。3800個ものペットボタルの制作と設置作業には市内の小中学生らも参加した(ライトアップは来年3月19日まで)。
新たな都市像として『文化伝承創造都市』を目指す千曲市。その実現には市民の気持ちがそこに向かって一体となることが不可欠であろう。官民挙げての「月の都」づくりが動き出した令和3年。来年以降のアフターコロナに向けて、本格的な活動の活発化が期待される。