千曲市 会員企業紹介 vol・⑩ 寿高原食品株式会社 

  千曲市 会員企業紹介 vol・⑩ 寿高原食品株式会社 

 (一社)ちくま未来戦略研究機構の会員企業を一社ずつ特集していくコーナー。

第10回は地元特産のりんごや桃、ぶどう、あんずなどの果実類の加工販売を手掛ける「寿高原食品株式会社」(戸倉)です。

果実と向き合って100余年

 当社は、1919年創業の更級杏ジャム株式会社を前身とし、以降百有余年、果実加工一筋に事業を展開しています。

 創業当時から千曲市周辺ではあんずが多く栽培されていましたが、漢方薬に使用される種だけが採取され、実(果肉)は捨てられていました。創業者:水井壽穂はこの状況を目の当たりにし、捨てられていた実を有効活用するため、ジャムやシロップ漬けを商品化しました。

 また、青森県で岩木川にりんごが捨てられていると聞きつければ、現地に赴き、1924年に日本初となるりんごジュースを開発するなど、もったいない精神・パイオニア精神に溢れた社風が当社の原点となっています。

 1962年に寿高原食品株式会社を設立し、その後、カレールーの原料となるりんごペーストやヨーグルト用フルーツソースの開発・生産など常に業界の先端を走ってきました。また、お客様のニーズにお応えするため、1997年から中国の現地メーカーへの技術指導や資本参加を行うことで産地の多角化を実現し、中国製品の年間輸入販売量は1500㌧超に達しています。

 現在、当社の取扱う国産原料は長野県産を中心に、りんご7000㌧・もも1300㌧・ぶどう200㌧の他あんず等で、これら原料を千曲市の本社工場と長野市の豊野工場の2工場で、果汁・ピューレ・プレザーブ(果肉)・業務用ジャムなどに一次加工し、日本全国の食品メーカー様へ納入しています。このBtoBの売上げが全体の8割を占め、残り2割が一般消費者向けビンジュースやビンジャムの販売となります。長年培ってきた技術の結晶である当社の看板商品「信州産りんごジュース しぼりっぱなし」が、令和6年長野県園芸特産振興展品評会にて農林水産大臣賞を受賞するなど皆様から高い評価をいただいております。

 また、近年では食品安全マネジメントシステムISO22000の認証を取得し、安心安全で高品質な製品づくりを徹底することで、お客様や社会に愛される会社を目指しています。

 今後も「果実を通じて生活に彩りを与え、豊かな社会を実現する」ことをモットーに、お取引先様、社会そして従業員の笑顔を生み出すよう事業活動をしてまいります。

【インタビュー記事】

 ちくま未来新聞では4月8日、本社を訪問して水井社長と矢島専務にお話を伺った。

(取材/白石茂樹)

 寿高原食品では2018年9月より更埴体育館の命名権・ネーミングライツ契約を千曲市と締結している。「ことぶきアリーナ千曲」の愛称は広く市内外に定着し、スポーツイベントなどでは「ことアリ」の略称も親しまれている。今年度からは再び2031年3月31日まで6年間の延長契約を結んだ。

 最初の契約時はちょうど寿高原食品が翌年に創業100周年を控えていたタイミング。水井社長は「この地で皆様方にお世話になって100年間存続することができた。感謝とお礼の意味も込め、ネーミングライツに応募した」と振り返る。現在ことぶきアリーナはBリーグやフットサルの試合会場になっているほか、2028年の信州やまなみ国スポではハンドボールと新体操の会場に指定された。宣伝効果もあるが水井社長は「何といっても一番は地域貢献」と語る。

 戸倉駅前の本社工場敷地内では毎年5月、工場祭「ことぶきジャム祭り」を開催している。「地域の人たちにうちで何を作っているのか知ってもらいたい(矢島専務)」という思いから2017年からスタートしたイベントはコロナ禍で一時中断したが、昨年復活した。今年は5月17日に開催するとのこと。ジャム・ジュース商品を定価から割引きするほか、取引企業のパンやお菓子、おやきやジュースなどを手頃な価格で販売する。そのほかキッズコーナーや様々なブースも設置されるという。「広報とか販売のチームに分かれ従業員が主体的に運営を行う。地域の皆様にお越しいただいて楽しんでいただきたい(水井社長)」例年1000人以上の来場者があるという。

 なお、瓶ジュースの生産ラインや搾汁などを行っている長野市の豊野工場は令和元年東日本台風で被災したが復旧を進め、2022年7月には同じ敷地内に新工場を竣工した。現在、同工場では製品を保管する倉庫を建設中で、今月完成する予定だ。

 信州の果実と向き合い続けた100余年の歴史。今後も地域と共に「安心安全なモノづくり」に取り組む。

(写真上)本社工場 (写真中)豊野工場 (写真下)商品