大和ハウス工業の物流基地完成 千曲市の新たな工業団地
千曲市内では、雨宮産業団地や八幡の「ちくまテクノパーク」をはじめとする工業団地の造成が本格化し、すでに稼働をしている施設もその成果を発揮している。上信越道と長野道の2つの高速道路へのアクセスが便利なことで物流面のメリットを活用して同市の発展に大きく貢献している。
この新産業団地では、新光電気工業(長野市)が、半導体そのものや集積回路を包んで周囲から防御して外部との電力や電気信号の入出力を行う端子や配線を包む部品(半導体パッケージ)を量産できる新工場の建設を急ピッチで進めている。信越化学系列の長野電子も新たな生産工場をつくる。
この新産業団地に、大和ハウス工業(大阪市)が完成させたマルチテナント型物流施設「DPL長野千曲(ダイワ プロジェクト ロジスティクス)」が6月2日、地域のメディアに初めて披露された。同社が全国展開する物流施設で最大級の規模。長野県内での開設は初めてとなる。
上信越道と長野道が交差する更埴ジャンクション(JCT)の近くにあり、鉄骨2階建てで延べ床面積は約3万8300平方メートル。施設内を四つのテナント区画に分けて、各約8千平方メートルの倉庫用スペースを整備した。敷地内には乗用車146台、10トントラック12台を収容できる。2階との荷物に使う電動フォークリフトの充電所も備えた。
とりわけ長時間労働のトラック運転手の労働時間を改善するための「中継物流拠点」の役割も果たせるように運転手の交代や休憩ができる拠点として働き方改善に貢献できるように事務所や休憩室も工夫して作った。
物流業界では2024年から、トラック運転手の働き方改革として長時間労働を抑制する「残業規制強化」が導入される(いわゆる「2024年問題」)。このため大きな人手不足が予想される。
DPL長野千曲 倉庫用スペース 精密機器物流「新開」が稼働
2階には共用ラウンジも設けて、普段は従業員の休憩場として使用するが、災害時には千曲市と結んだ防災協定を踏まえて指定緊急避難場所となり、50人分の毛布や飲料水などを備蓄している。千曲川沿いに立地していることから、浸水対策として敷地を約2メートル近くかさ上げしている。
同社長野建築営業所の森山俊樹所長は「お客様の要望を踏まえて、自社として提供できる施設とした。地域の住民の皆様にももしもの際には緊急の避難所とし活用できる」としたうえで、「日本海側と太平洋側をつなぐ物流の中継地点としてお使いいただける役割を担える」と述べた。
既に精密機器の物流で有数の新開トランスポートシステムズ(東京)が長野営業所として業務を開始している。今年中に4区画全てを埋める方針で、残る3区画分を募集しているという。
大和ハウス工業が手がける物流施設は今年3月末時点で全国319カ所にのぼる。インターネット取引拡大によって配達荷物の増加によって、全国各地で増設を進める。