思いを形に 夢咲く文 第2回 不完全でも「書き切った」感覚を大事に

思いを形に 夢咲く文 第2回 不完全でも「書き切った」感覚を大事に

夢の作文支援センターさらしな堂 大谷善邦

(元共同通信記者。著書「白 さらしな発日本美意識考」など)

 伝わる文章を作るのに協力してくれる人は、自分で見つけようとしないとなかなか見つかりません。とはいえ、見つかれば書けるというものでもありません。まずは書き始めることが肝心です。

書き始めることができれば、思いの核や読んでもらいたい読者層は明確にはなっていなくても、自分の中には存在しています。

 書き出しの文章とか、全体の構成とか、はじめにきっちり決める必要はありません。「さらしな」の地名力を紹介する「更級への旅」を書くとき、わたしは書き始めたら、とにかく最後まで書き切ることを心がけました。最終的に仕上がる文章の量には関係ありません。とにかく「伝えたいことは書いた(書けそう)」という達成感があるところまで行くようにしました。

 固有名詞の確認や文献の引用とか、文法、取り上げるエピソードとか、そういうのは後で整理したり、膨らませたりすればいいことです。長い文章を想定しているときこそ、短い文章でとにかく書き切ったとなった方がいいです。不完全な文章でも「書き切った」感覚があれば、思いの核に確かにぶつかったということです。「きょうはここまで。続きはまた明日」という書き方は、思いの核にぶつかりにくいと思います。