思いを形に 夢咲く文 第8回 物語も作文です
夢の作文支援センターさらしな堂 大谷善邦
伝えたい思いが「物語」であることがあります。体験や見聞をきっかけに自分の中に生まれた物語を、人に知ってもらいたいときです。小説、ショートショート、童話、絵本…みんな物語です。
だれに、なにを伝えたいのか、核の部分が自分の中にあるかどうかが肝心です。はじめから完成した物語を目指さず、書きだすことです。そのうちに、「核はこのことだ」と思えるところが出てきます。
不十分でも「書いたな」と思えたら、信頼の置ける人に読んでもらいましょう。意見が「その通りだな」と思ったら、書き直しましょう。
わたしは、伝えたい思いを物語に仕上げていくお手伝いもしています。物語を書くのは、思いを伝える作文の原理と同じです。伝えたい思いの核の部分を書いているかどうか、加えて説明しすぎないことと、書き込んでおくことのバランスが重要です。物語も作文も、人の心を打つかどうかは、いくつか書いたり、世の中の動きを知ろうとしたりしていると、なんとなく分かってきます。
受け取った人の心を打てるかどうかは、物語に込めたい思いの核が、人間の心を動かすものであるかどうかで決まります。信頼できる第三者の意見があると、その核に到達しやすいです。
(元共同通信記者。著書「白 さらしな発日本美意識考」など)