更級農業高校・屋代南高校 周辺地域の高校の連携でつながりを

更級農業高校・屋代南高校 周辺地域の高校の連携でつながりを

 千曲市の衣料関係の店が十五年ほど前に開店した。そのお祝いにと女性店主は「何かお客さんに開店のプレゼントをしよう」と思案したところ、鉢植えの花を思いついた。当時、長野市篠ノ井にある県立更級農業高校では冬になると実習で栽培したシクラメンの鉢を篠ノ井駅から厚生連篠ノ井総合病院までの通りを荷押し車に乗せて「適正価格」で販売していた。それを顧問の教諭に頼みこんで転売しない約束で100鉢、適正価格で購入できた。

 なぜこのケースを紹介したのか。高校生も自分たちが栽培した花鉢が「販売できる」ことを知ることで、生徒の自信につながり、嬉しいのではないだろうか。

 千曲市議選では、道路整備で何をしたかとか、保育施設や体育館など施設の建設で実績を作ったなどをアピールするのもよいだろう。しかし、インフラ整備への貢献と併せて、地域の人々、特に若い人にどんな具体策を示していけるかが大事だ。例えば、清泉女学院大学は来年4月に、男女共学の「清泉大学」になる。この7月には、政府の「大学・高専機能強化事業」の審査が通れば、旧更埴庁舎跡地に「農学系学部」が新設される可能性は格段に強まる。醸造、発酵学、バイオテクノロジーを学ぶ場所となろう。そして、清泉大側は、屋代南高校のライフデザイン科と「何かできる」とみている。まさに「連携」だ。ここに千曲市の発酵系企業も参加してほしい。

 こうした未来志向の連携についても、きたる7月の市議選では、主張してほしいものだ。

 さらに、地域の高校との「連携」でつながりを作ろう。千曲市にある県立の屋代南高校のライフデザイン科(旧被服科)は料理課程(フードコース)もある。同校と長野市南部にある更級農業高校でつくる野菜やみそなどの食材を提供する「連携作業」を立ち上げる。さらに松代高校の商業科も参加して「会社」のモデルもできる。

 できることはいろいろある。市議はもっと若者、特に高校生に関心につながる施策を考えて訴えてほしい。

 (本紙特任記者 中澤幸彦)

更級農業高校 コースは4学科(生産流通科、生物科学科、グリーンライフ科、施設園芸科)

屋代南高校ライフデザイン科 フードコースの調理実習