歌壇 安曇於保奈 選
【秀逸】
人間とロボットの共存も間近らしわたしの涙拭うのはどちら 百合
人間に近付けたいと開発を進めるAI。喜怒哀楽、善と悪を併せもつ人間。AIは、進化して良いところも悪いところも学習し、寄り添うことも、戦争も人殺しもするかもしれない。わたしの涙を拭ってくれるのはいったいどちらなのだろう、と作者。警世の歌になった。
【佳作】
幸せは妻の元気と句に詠みし先輩ありてしみじみ肯く 柳澤純
先輩は、幸せは妻が元気でいることだと詠んだ。作者は、その通りだとしみじみと肯いている。共感する読者も多いのではないか。俳句や短歌に詠まれた詩句に励まされたり、感動したりする三昧を大切にしたいと思わせる歌。
【入選】
去年今年千首をめざし短歌詠み八十路なかばの張りにとぞせん 宮坂岩子
信州は縄文遺跡の宝庫なり戦なき世の祖先のメッセージ 中村邦久
鬼死骸との地籍ある一関北上川の歴史に浸る 甘利真澄
お気に入りの「明るい農村」を注文し君の思い出肴に宴 湯本孝一
涙腺を緩める映画観たくなる作り話とわかっていても つきはら
良いところ残っているかと医者に訊く歳相応とうまく躱され 小針俊明
受験の日凍みた坂道に父親が息子にエール 塩カルを撒く 小橋浩樹
吉川宏志の歌集『雪の偶然』(2023)から二首鑑賞したい。
ゆうぞらを鳥わたりおり「歌ふ」とは「訴ふ」ことと迢空言いき
紙莢にシュガーは固く詰められつ問われおり「短歌で何ができますか」
【応募要領】
■官製はがきに三首まで(二重投稿は不可)■住所・氏名・電話番号を付記■締め切り毎月十日■宛先〒387‐0012 千曲市桜堂521 屋代西沢書店2階 ちくま未来新聞 歌壇係
